【業務内容】
衛生陶器や浴槽、水栓金具など水まわり製品の製造・販売
【利用用途】
アフターサービス管理
衛生陶器や浴槽、水栓金具など水まわり製品の製造・販売を行うTOTO株式会社。
2017年の今年で創業100周年を迎えた日本を代表する製造メーカーである。
その台湾法人である台灣東陶股份有限公司(以下、台湾TOTO)は、台湾内にも工場を持ち現地での生産、販売、アフターサービスを行っている。 日本のみならず台湾でも高い知名度とシェアを誇る台湾TOTOは、2017年の今年 設立30周年を迎え、台湾での更なる発展を進めている。
そんな同社は、2016年にkintoneを導入し、今まで紙やFAXで管理していた顧客や代理店からの問い合わせ情報の管理をkintoneに移行した。その結果、効率的なアフターサービス業務を実現している。
今回、総経理の戸田氏、商品技術課兼品質保證課の野口氏をはじめ、kintoneを日々利用している方々にお話を伺った。
(取材:2017年5月)YouTubeはこちら:https://youtu.be/1cNA1lIcloI
1987年台湾に設立し、2017年の今年30周年を迎えた台灣東陶股份有限公司。 便器などの衛生陶器は製造工場で台湾現地生産し、ウォシュレット(※)や水栓金具等については輸入するなど水まわり製品全般の製造・販売・アフターサービスを行っている。
台湾TOTOの設立は30年前だが、それ以前からTOTO製品の販売は行われており、TOTOと台湾の関係は35年以上に渡る。多数あるTOTOの海外拠点でも台湾が最も古いといっても過言ではない。
同社が特に主力としている便器や洗面器といった衛生陶器は、数ベースで30~35%のシェアを誇り、台湾での知名度も高い。
多くの同業他社がいる中、高いシェアと知名度を誇る当社の強みを総経理の戸田氏はこう語る。
「やはり品質だと思います。TOTOグループの社是にもありますが、当社は『良品 』と『均質』という考えを掲げています。良い製品を作るだけではなく、全ての製品が均質でなければならないという考えのもと、徹底したモノづくりを行っています。品質に関してとことんこだわった商品開発・モノづくりが当社の強みではないでしょうか。」
そんな同社の製品で最近特に好評なのが、温水洗浄便座機能がついた『ネオレストシリーズ』だ。コンパクトでデザイン性のある同製品は、新築のマンションなどに好評で採用率も飛躍的に向上している。
「機能付き商品であるが上に技術力も求められます。品質面で評価を頂いている結果かなと思います。」(戸田氏)
※ウォシュレットはTOTOの登録商標です。
台湾TOTO総経理 戶田勝也氏
台湾TOTOのショールームの様子
台湾でも好評の「ネオレスト」
kintone導入前、台湾TOTOではアフターサービスの情報管理でいくつかの問題を抱えていた。
シェア率からも分かる通り、台湾TOTOは多数の顧客がいるため、その分メンテナンスや問い合わせ対応といったアフターサービスも重要になってくる。
また、多数の代理店も持つため、エンドユーザーだけでなく代理店からの問い合わせも多い。
このようなお客様や代理店からの問い合わせやメンテナンスの情報管理について、「kintone導入前は、『量』『質』『スピード』の3つの側面で課題があった」と野口氏は語る。
まず1つ目の「量」については、台湾のアフターサービスに関する情報全体の4割程度の量しか台湾TOTOが把握できていなかった。
勿論、各代理店はしっかり対応をしているのだが、その各々の情報を台湾TOTOが把握する手段が以前は整っておらず、結果的に全体の4割という量の情報しか確認できないことが課題だった。
2つ目の「質」については、メンテナンスの報告書など各代理店で別々のフォーマットを使っていたため、報告内容の不備が目立っていた。
そのため、代理店に依って収集できる情報の質にもばらつきが生じていた。しかも、報告書には「結果」しか記載がなく、その経緯・プロセスが全く見えないため、今後の改善策を検討することも難しかった。
3つ目の「スピード」については、以前は報告を全て紙ベースで行っていたため、報告が来るまでに時間がかかっていた。
「以前は紙の報告書で管理していたため、メンテナンスや問い合わせ情報を把握するまでに時間も手間もかかっていました。その結果、お客様からのクレームも多く、アフターサービスの情報管理方法を改善する必要がありました。」(蘇氏)
台湾TOTO商品技術課兼品質保證課
課長 野口力氏
台湾TOTO品質保證部
服務課専員 蘇寶琴 氏
情報管理方法の改善のために、いくつかのシステムを検討した結果、kintoneの導入を決定した。
「kintoneは一般的なシステムとは違い、自分たちが使いたいシステムを簡単に作り込めて、使い勝手も良いと感じました。また、コスト面も魅力でした。仮に失敗したとしても金銭的な影響が小さい点はシステム導入のハードルが下がりますね。」と野口氏はkintoneの導入理由を語る。
今まで紙で管理していた顧客や代理店からの問い合わせ情報や報告書がkintoneに変わることでの、一番の効果はやはり「スピード」だ。
kintoneは台湾TOTO社内だけではなく、現場のメンテナンススタッフや代理店でも利用している。それにより複数の関係者を跨いでの迅速で一貫したアフターサービスの情報共有が実現した。
「今まで紙の運用で時間や手間がかかっていたのが、kintoneを導入してからはkintone上で問い合わせからメンテナンス完了の報告まで一貫してできるようになり、対応スピードが向上しました。また、kintoneだと報告内容に不備がある場合はデータを保存できない仕組みになっているので、報告内容の抜け漏れが減り、内容の質自体も良くなりました。」(黄氏)
また、アフターサービス部門と技術保証部門のメンバーがkintone上で直接やりとりできるようにもなった結果、効率的な情報共有が実現し、より満足度の高いサービスを提供できるようになった。
台湾TOTO品質保證部
部長 黄志君 氏
勿論、最初から代理店へのkintoneの導入がスムーズに行った訳ではない。代理店にkintoneを使ってもらうにあたって少なからずハードルもあった。
「代理店さんにもkintoneを使って頂くために、TOTOが目指していく方向性を共有する場を代理店と持ちました。『お客様のために良い製品・サービスを提供していく』という想いを改めてお互いが再認識することで納得して頂きました。」(野口氏)
問い合わせ情報とその対応状況を一元管理。状況把握も迅速になり対応スピードもアップ。
今では代理店担当者からもkintoneは評判だ。
「今までは紙のメンテナンス報告書を使っていたので、大量の紙資料の中から情報を探し出すのに苦労していました。今はkintone上でキーワードから簡単に検索できるので、対応がとても楽になりました。」(凌嫚蔓氏)
また、実際に現場でメンテナンス作業を行う代理店からも評価は高い。
「以前はメンテナンス表をFAXで受け取っていました。今はkintone上で現場の状況や故障した製品の写真を担当者に共有することができるので、メンテナンスに必要な部品もすぐに把握できます。また、お客様の確認サインもタブレット上に書けばkintoneに保存されるので紛失の恐れがなくなりました。」(蕭秋源氏)
現場でメンテナンススタッフが記入するkintone画面。
現場の写真もその場からタブレットで撮影してすぐにkintoneで報告できる。
新永和股份有限公司
系統擔當 凌嫚蔓氏
宏折實業有限公司 系統擔當
蕭秋源氏
「当社は品質を重視していますが、それは単に良い製品を作るだけでなく、ご購入後のアフターサービスもトータルで含めて『品質』だと思っています。アフターサービスのスピードアップを考えていた我々が求めるシステムが、まさにkintoneでした。 我々の要望をほぼ100%実現してくれたkintoneには感謝しています。」(戸田氏)
『お客様のために良い製品、サービスを提供していく』という台湾TOTOの想いを実現する一つのツールとしてkintoneが活躍している。
タブレット上のkintoneにお客様のサインをもらう。紛失の心配もなく、確認もしやすくなった。
今ではkintoneがアフターサービス情報の管理にはなくてはならないものになっている。
今後は、台湾のみならず他の拠点でもシステムを使ったメンテナンス管理を計画している。
「台湾と同じようにアフターサービス管理で課題を持っている海外拠点は他にもあります。そういった拠点にも今後kintoneを導入していけるといいですね。」(野口氏)
また、設立30週年を迎えた台湾TOTOの今後について戸田氏はこう語る。
「我々が台湾で仕事をさせて頂く中での最大の使命は『台湾の水回りの生活文化をより良くしていく』こと。この使命を実現するために、今度もより良い製品、サービスを提供し、信頼される会社を目指していきます。」
これからも台湾で発展していく台湾TOTOをkintoneが支えていくだろう。