【業務内容】
ポリウレタン、塗料及び接着剤関連製品の製造・販売・研究
【利用用途】
支払申請・費用申請管理、営業受注管理、販売予実管理、物流入出庫在庫管理、契約書管理、安全検査管理など
东曹(上海)聚氨酯有限公司は総合化学メーカー東ソー株式会社の現地法人でポリウレタン素材の原料を提供する現地子会社だ。日本生産品の輸入販売と上海金山工場での製造販売を行なっている。私たちの生活に身近な自動車シート・寝具・ソファ等のクッション材、冷蔵庫の断熱材、建材関係や塗料関係、メディカル分野まで幅広い分野で利用されるポリウレタン原料を提供している。
「初めてサイボウズの営業の方に電話をもらった時、『必要ないです!資料だけ送っておいて。』と塩対応してしまったんです。」と総経理の藤井氏は笑いながら語った。
当時、工場とオフィスの二拠点に分かれて業務を行う中で日付印押印の多さをなんとかしたいと漠然と考えていた。支払処理に関する書類を印刷して捺印し、拠点間を運び…二週間ほどの時間を要する業務フローだった。また上長が出張に出るとフローが止まってしまう。
そんな中、届いた資料を眺め、「これだ!!」と閃き、自らサイボウズへ連絡を行った。
「自社の業務に合わせて業務システムを作れるところ、パッと素早くスピーディーに進めていけそうなところに惹かれた。また、自分で作ってみたいと思えた。」(藤井氏)
东曹(上海)聚氨酯有限公司
総経理 藤井 大輔 氏
kintone活用を中心となって推進。「改善アイデアがどんどん閃くので、それらをkintoneで形にしていくことにとても楽しさを感じています。もはや趣味です!」
まずはスモールスタートで、財務の支払申請から業務改善に着手。日付印の押印が多い業務順に着手した。不明点があればサイボウズのスタッフに相談し、一緒に構築を進めていくことでスムーズに良いスタートが切れた。導入から約4ヶ月でおおよその移行が完了し、日付印の押印がほぼゼロとなった。
また、一連の同じ流れの業務であっても、従来のExcel・Wordをベースとした業務だと、例えば輸入・関税支払・入庫・代金支払・販売など何度も同じ内容を記入したりコピーすることが多く非効率だった。こうした業務にkintoneを活用することで、最初の業務で入力した情報をもとに一連の業務アプリにアクションボタンを活用して情報を転記できるので、担当者は業務効率化を実感でき、ミスの防止にもつながった。
支払請求書アプリ 一覧画面
一覧画面では、申請のステータスをパッと確認できます。
続けて営業受注管理の改善に着手開始。「実はこの分野の改善を一番やりたかった。『今月、何トン受注・販売しているのか?』という疑問に対して、エクセル管理でも見られなくはないが、集計が間違っていないか、抜け漏れがないか常に不安がつきまとっていた。それがkintoneでマスタ情報を整備して情報管理することで、常に最新の受注状況や予実管理の情報を見たいときにパッと確認できるようになった。1年でようやくここまでできるようになりました。」(藤井氏)
そして日本本社からの問い合わせに対して、的確に素早く報告ができるようになった。
「これは単純だが、意外とできないこと。kintone導入前もできたことではあるが、人が何時間もかけて作業しないとできなかった。それがワンクリックで、ズバッと見れるようになった。」(藤井氏)
受注処理一覧アプリ
受注処理に必要な情報に加えて支払情報や入出庫情報、発票情報を関連レコード機能を使って、1レコードで確認できるように構築。
一覧画面では常に最新のステータスを確認でき、また集計機能を使って日次受注状況をグラフ化することで常に最新データを情報共有できるようになった。
予実管理アプリ
受注管理で蓄積されたデータと別途取り込んだ予算データを使い、予算と実績状況をワンクリックで可視化できるようになった。
製品別、販売店毎など管理したい切り口で分析可能。このアプリ構築は個別開発を行なって構築した。
例えば「10日間かかっていた作業が1日でできるようになりました」など定量的な指標で作業効率が大幅にアップしたことは間違いないが、それだけではないと藤井氏は語る。
「『今までできていなかったことが管理できるようになった』とゼロだったことができるようになったことの方が効果として大きいと考える。やりたかったけれど手作業だと対応が難しくてできていなかったことができるようになり、見えていなかった部分が可視化されて見えるようになった。内部統制上のモニタリングや不正防止などガバナンスの観点からも大きな進歩です。」(藤井氏)
導入から1年で約100個のアプリを運用、社員にとってもkintoneの存在が「日常」に変化し、大半の業務をkintoneで実施するようになった。
「1年でここまできたことは大きな成果だが、一方で維持・管理していくこと、そして更なる活用範囲の拡大にはアプリ管理者の育成も必要で、社内で仲間を増やしているところです。また、多くの社員のエンゲージメント意識の向上、業務改善意欲や閃きも必要なので、アプリ作成技術だけではない全社的な意識改革も進めていきたい。kintoneはそのための一つのツールだと考えています。」と藤井氏は力強く語った。