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碼科泰克(上海)探傷設備有限公司 様

非破壊検査と印字・マーキング装置の日本最大手メーカー
顧客・商談管理にkintoneを活用して現場の情報を会社の資産に

【業務内容】

非破壊検査用品・機器および印字・マーキング装置の製造・販売

【利用用途】

顧客管理、商談管理

会社概要

非破壊検査の用品・機器および印字・マーキング装置の製造と販売で日本国内最大手のマークテックは、1995年の中国進出を皮切りに現在は韓国とタイ、インドネシアに拠点を構え、世界トップメーカーを目指す海外戦略を加速している。なかでも中国は膨大な内需が期待できる有望な市場として、グループ全社においても最重要拠点に位置付けられている。2012年には生産体制を増強すべく、従前の嘉定区から現在の奉賢区にある上海市工業総合開発区に工場を移転。2017年度の売上高は前年比115%と伸長し、力強く成長を続けている。しかし、その一方で中国は人材の流動性が高く、また本来は会社の資産である顧客情報の属人的な”ブラックボックス化”に頭を悩ませていた。そこで2017年に利用を始めたのがkintoneだ。顧客管理と商談管理を中心に、マネジメント層が迅速に現場の情報を把握できる体制を実現した。佐野嘉高・董事兼総経理と瀧住和矢・営業部部長に導入の経緯と効果についてお話を伺いました。(取材:2018年2月)

今回は非破壊検査用品・装置と印字・マーキング装置の製造・販売を手掛ける碼科泰克(上海)探傷設備有限公司様にお伺いしました。

事業紹介

合弁事業を経て2010年から独資で再展開
中国市場は世界トップメーカーへのカギ

マークテックが手掛ける主要事業の一つ、非破壊検査。工業材料や機械部品をはじめとする各種様々な製品を破壊することなく、それらの内部や表面の欠陥や亀裂を検出する検査手法だ。マークテックはその非破壊検査に使用する探傷剤や探傷機器といった多様な用品と機器の総合メーカーとして、主に鉄鋼や自動車、プラント業界の大手メーカーを数多く顧客に抱え、日本国内では長きにわたってトップシェアを誇る最大手である。

中国への進出は1995年。探傷剤の製造・販売を目的に、当時は非破壊検査の市場がまだ十分に形成されていなかったこともあり、独資ではなく、中国企業との合弁会社を設立して事業を開始した。日本でのその豊富な実績は、”世界の工場”と称されるほどに各国の製造拠点が集積したかつて中国でも十分に通用し、非破壊検査用品の分野では圧倒的なシェアを占めるまでに急成長した。だが、コピー大国の異称もある中国。当然ながら、模倣品との熾烈な戦いは絶えなかったという。さらには合弁先である中国企業が単独で事業を進めるといった目に余るケースも増え、「世界のトップメーカーを目指す上でグループ全社において非常に重要な役割を果たす中国」(佐野総経理)での事業を仕切り直す経営判断を下す。

碼科泰克(上海)探傷設備有限公司
佐野嘉高・董事兼総経理

こうして、2009年に合弁事業を解消し、翌年の2010年1月に独資で設立したのが現在の碼科泰克(上海)探傷設備有限公司(以下、マークテックチャイナ)だ。マークテックチャイナは日本の強みを生かして非破壊検査事業ともう一つの主力である印字・マーキング事業の二本柱を中国で展開する。2012年には上海市工業総合開発区に工場を移転し拡大。敷地面積10,000㎡に本社と生産の両機能を併せ持っている。

(左)2012年に移転した上海市工業総合開発区に構える工場
(右)マークテックチャイナが手掛ける印字・マーキング装置で印字した鋼管

「現在は顧客の6割が日系企業、残り4割が中国企業です。近年は中国企業のお客様が増加傾向にあります」と説明する佐野総経理は、日本本社で常務執行役員として経営に携わるだけでなく、研究開発と品質保証の両部門の責任者を兼任し、なおかつ成田工場を管轄する。成長著しい中国市場に対しては、「日本で売れているからといって、必ずしも中国でそのまま同じ商品が売れるとは限らない」と研究開発のトップの立場からも、その中国特有のニーズに対する商品のローカライズの必要性を強調する。例えば、浸透探傷試験でキズを表面に浮かび上がらせる現像剤。中国では実際に乾燥する速さではなく、”速く乾燥しているように見える”ことが重視されるという。「競合他社製品がそうである以上、実際に乾燥する速さ(=機能の高さ)だけを一辺倒で謳っても駄目」(佐野総経理)と、中国では塗布した直後に”白く乾燥して見える”ように改良し、競合となる中国の地場メーカーとしのぎを削っている。

自動車部品を染色浸透探傷で検査すると亀裂がある部分に染色がはっきりと残る。

導入前の課題

中国各地へ出張する営業の訪問報告が課題
エクセルによる顧客管理に限界を感じていた

マークテックチャイナは販売代理店経由による間接販売に加え、自社の営業スタッフが直接顧客へ訪問して取引する直販を主に展開する。現在、11名の営業スタッフは本社・工場がある上海を拠点として常に中国全土へ出張を繰り返し、その業務時間のほとんどを各地の出張先で過ごすこととなる。その間に実施した訪問先との商談内容は、24時間以内に共通の定型フォーマットのメールで上長へ報告する、というのが従前の管理方法であった。ところが、「メールによる報告は、それらの情報を取りまとめる立場として非常に編集しづらいことが難点でした」と、kintoneを導入する以前の課題を振り返るのは営業部門のトップである瀧住営業部長。加えて、「共通の定型フォーマットが時間の経過とともに営業スタッフ毎に属人的にカスタマイズされ、必要な情報がどこに書かれているのかが分からなくなってしまうことも少なくなかった」とその扱いに手を焼いていた。

もう一つ、頭を悩ませていたのが顧客管理だ。従来はエクセルで顧客管理テンプレートを自社で用意し、いわゆる顧客リストを作成して管理していた。しかし、データの増加に伴ってファイルは重くなり、既存データの管理の煩雑さだけではく、新たな入力項目の設定や一元管理が難しく、徐々にその管理方法に限界を感じていたという。瀧住営業部長は、「中国は日本以上に人材の流動性が高く、かつ業務で得た情報であってもオープンにしたがらない風土がある。弊社は幸い人材の定着率が高くはありますが、そうしたリスクは常に意識して顧客や商談の情報を会社の資産として一元的に管理する必要性を感じていました」とkintone導入の背景を説明する。

導入の効果

顧客・商談管理をkintoneに集約
営業同士のコミュニケーションも活性化

【顧客管理】

顧客管理と商談管理に課題を抱えていたマークテックチャイナが、サイボウズ中国からkintoneの説明を受けたのが2016年12月。「コレだ、と思った」と話す瀧住営業部長の判断は早く、翌月の2017年1月から早速利用を開始した。まずは顧客管理。従前のエクセルで管理してきたデータを一部移行しつつ、以前のエクセルでは「営業スタッフから情報として吸い上げるのが困難だった」(瀧住営業部長)という顧客の担当者に関する様々な情報(役職・TEL・メールアドレス)の入力項目を設け、顧客に関する多様な情報を会社の資産として共有・管理する方向性を明確に打ち出した。

もちろん、それらの情報の入力を完璧な状態で運用し続けることは簡単ではない。実際に現段階では「入力されていない項目もある」と瀧住営業部長は正直に明かす。だが、kintoneによって実現するインターネットの通信環境さえあればいつでもどこからでも複数人が同時にアクセスできるオープンな情報管理は、営業スタッフ同士がお互いの情報のアウトプットを意識し合い、徐々にではあるが全社で共有すべき情報として入力すべきだという認識が高まっていくのを感じるという。

碼科泰克(上海)探傷設備有限公司
瀧住和矢・営業部部長

従来はエクセルで管理していた顧客リストをkintoneで「顧客管理」として一元管理している。

【商談管理】

一方の商談報告は、営業スタッフによる相互のコミュニケーションを活発に図るツールとしても一役買っている。もともとメールによる訪問報告ではフォーマットの属人的なカスタマイズが、マネジメント層による情報の編集・整理の大きな障壁となっていた。そこでマークテックチャイナは、kintone上で会社が必要な情報として、訪問先の会社名・日付・訪問メンバー・商談目的・訪問先の担当者と役職といった定型の入力項目を設定。メールのフォーマットに比べ、視覚的にも入力すべき情報が分かりやすくなることで、営業スタッフによる入力作業の負担軽減にもつながったという。瀧住営業部長は、「私をはじめとする上長がそれぞれの商談報告にコメントした内容が他の営業スタッフにも共有できるので、遠く離れたエリアで活動する営業スタッフ同士がお互いの状況を認識し合える」とそのメリットを説明する。こうしたコミュニケーションは訪問先の重複を未然に回避し、過去に提出した見積金額などの商談実績を全社で共有できることで顧客対応の効率化を実現している。

加えて、現場からの商談報告を取りまとめ、必要なポイントを佐野総経理へ週次で報告する瀧住営業部長にとっては、「各営業スタッフから提出されるエクセルを編集して統合する毎週の作業自体が必要なくなった」と自身の業務効率化にも大きく貢献したと笑みをこぼす。「商談の内容はもちろん、それに対するコメントが履歴として残ることで、営業スタッフによる一つ一つの訪問活動が会社の資産として一元的に蓄積されるプラットフォーム」(瀧住営業部長)がkintoneによって構築されている。

各営業スタッフが出張先からkintoneにアクセスして商談に関する報告を行う。商談の内容だけではなく、その報告に対するコメントの履歴も会社の資産として蓄積されていく。

将来の展望

マーケティングと開発の新部門を立ち上げ
中国ならではの製品開発を本格的に始動

昨年12月にはスケジュール管理や各種申請のワークフローとしてガルーンも導入した。特に紙による申請書類の回付が申請者と決裁者の双方にとって大きな負担となっていたワークフローの大幅な業務改善を進めているという。

「中国は非破壊検査の重要性がまだ十分に認識されておらず、何かしら事故が起こってから問い合わせが急増する状況にある。裏を返せば、まだまだ伸びしろが大きい」と中国市場のポテンシャルについて話す佐野総経理は、一方で「競合となる中国企業が着実に開発力を高め、競争は一段と激しくなる」と気を緩めない。この1月には企画マーケティング部門と開発部門を新たに立ち上げ、中国特有の市場ニーズに合わせた独自の製品開発を本格的に開始する計画だ。マークテックが目指す世界トップメーカーへのカギは、まさに中国が握っている。

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