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良笑(上海)商贸有限公司 様

成長著しい中国のフィギュア市場で業績は右肩上がり
規模拡大に伴い、複雑な業務管理をkintoneで効率化

【業務内容】

玩具・フィギュア・グッズの販売

【利用用途】

受注・発注・入出荷・在庫・請求・入金の管理

会社概要

良笑(上海)商貿有限公司(グッドスマイル上海)は、自社が手掛けるフィギュアを中国市場に広めるため、グッドスマイルカンパニー(東京)が設立した子会社だ。2011年設立後、フィギュアメーカーである日本本社が企画・開発・製造する数多くの商品をECサイトのタオバオやTmall、ローカルの卸業者を通じて販売し、「グッドスマイルカンパニー」を中国でも名の通るフィギュアメーカーに押し上げてきた。そのグッドスマイル上海が受発注をはじめとする管理業務のツールに選んだのがkintoneだ。鈴木誠・総経理に導入前の課題と導入後の効果についてお話を伺いました。(取材:2018年9月)

今回はフィギュアの販売を手掛ける良笑(上海)商貿有限公司様にお伺いしました。

事業紹介

本物への価値観が高まる中国フィギュア市場
業績は右肩上がり、2018年度の受注額は前年比2倍に

「今年2018年度の受注額は前年比で2倍超に大きく伸長する」。グッドスマイル上海の業績は至って好調だ。その理由の一つについて鈴木総経理は動画共有サービスのbilibili(中国語:哔哩哔哩 )の存在が大きいという。「bilibiliが正規に放送するアニメなどのコンテンツ関連商品を、すぐに注文できる機能がモバイルアプリ内に新しく実装され、アニメの視聴とフィギュアの購入という二つの行動の親和性が一段と高まった」。

いまでこそ、中国のフィギュア業界でも十分に知られる「グッドスマイルカンパニー」だが、2011年の設立当時は一部の消費者のみが知る稀有なフィギュアメーカー。決して多くに知られる存在ではなかったという。加えて、秋葉原に代表される実店舗の集積地がある日本と違い、「フィギュアを販売する実店舗がほとんどなく、ユーザーが実物に触れる機会が極端に少ない」。しかし、上海を中心にイベント出展を通じてユーザーに直接働きかける地道なプロモーションなどが奏功し、Tmallによる小売や現在20社以上に増加した卸売業者を通じての販売が順調に伸び、業績は右肩上がりの拡大基調にある。

良笑(上海)商貿有限公司
鈴木誠・総経理

アニメや漫画のコンテンツに連動したフィギュアが毎週10アイテム近く新しく予約販売を始める

一方で鈴木総経理は中国のフィギュア市場の微妙な変化も読み取る。「ユーザーの”本物への価値観”が着実に高まっている。依然、海賊版は後を絶たず、対策を講じても手を替え品を替えという状況が続いている。だが、正規品に触れる機会が徐々に増えたことで『本物が欲しい』というユーザーの価値観が醸成され、間違いなく市場の健全化と拡大が進んでいる」。

導入前の課題

受発注や入出荷の数値管理で課題に直面
特殊かつ複雑な業務が課題に拍車かける

順調な事業拡大のかたわらでグッドスマイル上海が直面した課題が、エクセルによる受発注などの業務管理だ。もともと日本本社がブラウザベースのツールを利用していたこともあり、また董事長が日本にいることもあって、インターネット環境さえあれば気軽に情報共有できるクラウドサービスに「いつかは変えなければ」という思いを抱いていた。それが、「私と他1名程度で共有する規模であれば事足りたが、3人、4人とスタッフが増えるに従ってエクセルでは限界に達してきた」と鈴木総経理はkintone導入前の2016年当時を振り返る。

規模の拡大に伴う業務の効率化とともに、もう一つエクセルでは管理が難しい理由がある。フィギュアという商品の特殊な販売方法に伴う複雑な業務がそれだ。同社が販売するフィギュアは、原型師と呼ばれる職人がオリジナルの一体目を制作するところから始まる。次にそのオリジナルの宣材写真を撮影して一般の消費者や業者からの予約注文を受け付け、企画・製造を手掛ける日本本社を含む各メーカーに発注する。そこから数ヵ月の製造期間を経て、実際に商品の入荷・出荷は早くて数か月後、長ければ一年後になることもある。

しかも、「商品は新規で週に10アイテム前後も増え、なおかつ、それらの受発注締め切りや入出荷日時はアイテム毎に異なる」という複雑な業務で、同時に相当数のアイテムの数値を管理しなければならないのだ。さらに、取引の大半はキャッシュオンデリバリーで行われるため、入荷予定日から出荷日を決め、事前に請求書を発行、入金を確認してから出荷する。「受発注を管理するエクセルからコピペで作成していた為、そこから漏れてしまい請求書が発行できていなかったり、そもそも出荷ができていなかったりといった属人的なミスも発生していた」と鈴木総経理は苦笑する。

利用用途

受注から出荷までの一連の業務を一元管理一括入力用に別途開発のツールも活用する

【商品マスタ】

各商品のJANコードやメーカー、商品名などの情報を日本語・中国語の2か国語で管理する。過去にエクセルで管理していたデータは全てkintoneに移行した。新規のアイテムは毎週増えるため、商品マスタは膨大な数量となるが、日本語と中国語のいずれでも容易に検索できる。

【受発注管理】

顧客からの受注業務に加えて、日本本社を主とする各メーカーに対する発注業務を管理する。20社を超える取引先から、毎週複数のアイテムの発注があるため、JANコードや受注の数量、出荷予定日の厳密な管理が求められる。業者からの発注は基本的にメールのため、一つのアイテム毎にkintoneに入力するのではなく、一旦専用のリストにまとめて、それを受発注管理に取り込めるようカスタマイズされた専用ツールを利用することで入力の手間を省き、後続作業に効率よく進む工夫をしている。一方の発注業務に関しても、再チェック用のリストをダウンロードする機能を開発し、発注漏れを防いでいる。

販売管理全体図

受注一覧

【入荷・請求管理】

メーカーに発注したフィギュアの入荷と請求業務を管理する。商品毎に製造期間が異なるため、発注した順に入荷するわけではない複雑な業務に対応する。発注数と入荷、請求の数値が紐づくように設計されている。入荷の数値は週次で締め、ワンクリックで請求書のリストを生成し、入荷が確認されたアイテムに関してのみ請求書を発行する業務フローになっている。

Excel形式で出力された請求書例

入庫一覧

【入金・出荷管理】

取引先からの入金および出荷業務を管理する。取引はキャッシュオンデリバリーを原則とするため、入金を確認して初めて出荷業務に入るよう数値が紐づいている。

入金確認表例

受注情報一括取り込みツール

導入の効果

入力・集計負荷の大幅削減と業務分担制を実現
総経理が企画などコア業務に集中できる体制に

2017年に導入して一年間のkintone運用を経た鈴木総経理は、「一言でいうと、すごく助かっている」とコメントする。当初の課題として抱えていた複数人による受注から出荷までの一連の業務に関する情報共有は、特定のエクセルファイルの個別のやり取りがなくなり、全員がブラウザベースで必要に応じてkintoneに同時アクセスできる環境が整うことで解消した。

特に、「各業務の数値の入力や集計の手間が格段に減り、業務が大幅に効率化した」という。例えば、メーカーから入荷する数量に応じて毎週発行する請求書の管理業務はその一つだ。従前は発注数量を管理するエクセルから入荷したアイテムの情報を目検でコピペし、請求書の発行リストを改めて別のエクセルで作成していた。しかし、kintoneではワンクリックで当週に発行すべき請求書のリストが生成されるため、「請求漏れなどのアナログな作業に付きものの属人的なミスがなくなった」と鈴木総経理も笑みをこぼす。

もう一つ、組織として成長していく上でkintoneが大きな役割を果たしている。鈴木総経理は、「kintoneのおかげで発注から出荷までの一連の業務の情報共有が容易になり、私に属人的に集中していた管理業務そのものを他のスタッフに分担する体制を一歩実現できた」と説明する。

成功ポイント

決して順調な滑り出しではなかったkintone
パートナーと更なる改善に向け開発を継続

導入後の運用開始当初は、「正直に言うと、すごく難しく感じていた」という鈴木総経理。一連の業務を全てkintoneに移行することに加えて、完全受注生産に伴う受注予約販売やキャッシュオンデリバリーメインの売買など、複雑な業務管理がゆえ、決して順調な滑り出しとはいかなかったのだ。グッドスマイル上海によるkintoneの活用はいまも更なる改善に向けた開発を継続している。

その導入や開発に伴走するのが、サイボウズ中国が認定するkintoneのオフィシャルパートナー(上海人雨而系統技術軟件)だ。商品マスタなどエクセルで管理していた過去のデータをkintoneへ移行する作業から、実際の発注から出荷までの業務の管理をkintoneで遂行するための要件定義からアプリ開発まで様々な場面でサポートしている。

kintoneの導入・開発パートナーの
上海人雨而系統技術軟件・松村総経理

将来の展望

kintoneに蓄積したデータから集計・分析
在庫として抱える数量を適切に予測する

いままさにグッドスマイル上海がkintoneで開発を進めるのが蓄積したデータの分析だ。一例では、メーカーに発注する数量を決定する上で、すでに受注した数量に加えて、以後の販売見込みも含めて在庫として抱える数量の適切な予測がある。「同じメーカーや類似したシリーズのフィギュアの過去の受注実績などのデータから前年対比などで集計・分析する」。また、現在はメールでやり取りする取引先からの発注をブラウザベースの専用画面を設けてkintoneと直接連携させる構想も練る。

「中国のフィギュア市場は過去に日本が辿ってきた路を後追いしている。実際、非常にニッチだったものが、マスになる兆候を感じる。今後は新しい取り扱いメーカーも増える可能性が高く、しっかりと業務管理していかなければならない」と鈴木総経理は話す。

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ノーコードツール「キントーン」を活用してDX変革に挑戦しているユーザーのリアルな声が聞けるイベントです。 複雑で多様に変化する中国市場でどのようにキントーンを活用し、事業を推進しているのか。

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