
【業務内容】
印刷・情報技術を基盤に、雑誌や書籍から包装、建材、エレクトロニクス事業など幅広く展開
【利用用途】
出張管理、費用管理、設備管理、勤怠管理など
「人と社会をつなぎ、新しい価値を提供する。」を企業理念に掲げ、印刷と情報の強みを活かして多岐にわたる事業を展開する大日本印刷株式会社。2023年度には海外売上高が3,000億を超えるなど、海外における事業も成長を続けている。
同社では業務上取り扱う情報の機密性が高いため、セキュリティに対する要件が非常に高い。グローバル進出においてもセキュリティやガバナンスの基盤構築が求められた。
また当時の米国拠点では、対応エリアが広く出張頻度が多い状況の中、出張申請や費用申請、精算業務はExcelファイルをメールに添付し回覧することで対応していた。経費申請業務に1日かかってしまうほど、申請承認プロセスが非常に非効率であり、現地社員から改善を求める声が多く上がっていた。この状況をきっかけに、システム化の検討を始めた。
情報システム本部 システム企画部
海外拠点標準ICT基盤推進グループ
篠尾 宜孝氏
2019年より迪文普企业咨询(上海)有限公司に駐在、中国地域のICT統括担当し、kintoneを使った業務改善を推進。2024年より現職。
当初は日本の申請システムを導入しようとしたが、オンプレミスによる保守運用の課題、言語や通貨の問題、コストや外部接続などの問題があった。そこでクラウドシステムの検討に切り替え、いくつかの候補と比較検討した。結果として、機能面、費用面で要件にフィットしたキントーンを採用し、同社の米国拠点で初めてクラウド製品のkintoneを導入。米国に続いて中国もkintoneを導入した。
選定の際、特に重視したのがセキュリティ要件である。大日本印刷ではクラウドサービスを採用する際に、クラウドチェックシートに合格できないと見送りとなる。キントーンは信頼性やデータ管理要件、ネットワーク要件、データセンター要件など様々な要件をクリアしたことが、導入決定における重要なポイントであった。
kintoneの導入により、出張申請から報告、経費精算までを一気通貫で申請・承認できるようになり、わかりやすい申請作業で社員から大いに喜ばれた。申請を管理する面においても、以前はExcelファイルを添付したメールで承認を行なっていたり、紙にサインで行なっていた作業が不要となり、kintone上で全てデータベース化され、申請・承認作業の効率化はもちろんのこと、過去のデータも大変管理しやすくなった。
中国拠点では、設備管理を行う「PCデバイス導入申請」アプリや、勤怠管理の「休暇申請」アプリに「在宅勤務許可申請」アプリ、「社印・電子捺印申請」アプリなど、多岐にわたる活用が進んでいる。ポータルでは為替レートや情報セキュリティ関連の情報も共有しており、各拠点所属者に向けた情報共有の場としても一役買っている。
中国で運用している出張申請アプリ。
上部の事前報告と下部の事後報告を一つのレコードで管理、事前と事後で二回承認フローを回す運用となっている。
出張者の多い同社では、一つのアプリで一連の業務が完結する「出張申請・報告・精算アプリ」が非常に重宝されている。
アプリ構築時はまず自社で標準機能での構築を進め、実現が難しそうだと感じるとサイボウズへ相談。要件に応じて、サイボウズより最適な解決策を提案する。出張申請アプリでは、プラグインを活用することで、社員の利便性向上を第一に考えた運用を実現できた。
「自分でマニュアルを見ながらアプリ作成を進め、壁にぶち当たったときに気軽に相談できる相談先があることはとても助かりました。おかげで社員の利便性向上を第一としたアプリ構築がスムーズに行えました。」(篠尾氏)
また、kintoneのわかりやすい画面設計と簡単なワークフロー作成インターフェースにより、業務にフィットしたシステム開発が可能となった。アプリ構築では、本番運用前にテスト環境で試せるところがよかったという。
「問題なくフローが動くかどうかをダミーのユーザー・承認者を作って運用前にテストできるのが良かった。この方法はおすすめです。」(篠尾氏)
出張申請・報告・精算アプリでは、必須項目がオレンジ色に表示される。入力すると緑色に変わる仕組みだ。
出張前に申請した内容は出張後に入力できないようプラグインを活用して設定した。
結果、事前申請〜事後報告、支払いまでを一つのアプリで完結できるので、社員の利便性が向上した。
まだまだ申請フローの改善要求があるので、アプリ開発を続けていく。
今後もグローバル各拠点主導での市民開発にkintoneを活用し、業務改善を進めていく。