深圳市普罗米斯咨询服务有限公司

(SMBCコンシューマーファイナンス中国子会社)


【業務内容】

個人向け小額貸付業務

業務受託(システム開発)


【利用用途】

決裁申請書、決裁基準、外部委託管理



現場スタッフ自ら決裁アプリを構築、現地主導で業務問題を解決。
運用成功したアプリは他拠点へ横展開、グループ全体のデジタル底上げに貢献。

事業紹介


当社は2012年に設立し、日本のSMBCグループであるSMBCコンシューマーファイナンス(旧プロミス)による中国本土の個人向け小額貸付業務として事業展開する、グループ会社への支援を開始した。支援内容は少額貸付用の受付・審査システムから派生し、各社のITサポートも担当。また、海外事業では香港・台湾・タイ・ベトナムでサイボウズを活用している。今回は海外での導入経緯との運用の秘訣についてお伺いした。




導入前の課題


● 現地スタッフを中心に組織がまわる仕組みを作りたかった



総経理 山下氏


当社は『事業運営の現地化』が大きなテーマであった。日本人駐在員の指示を待たずに行動できるだけなく、日本本社とも直接コミュニケーションできるスタッフを育て、より効率的でスピーディな組織運営を目指していた。


その組織作りを目指す過程で、kintoneに目を付けた背景を山下氏は以下のように話す。


「現地で自立した組織を作るためには、スタッフ自身が自ら改善や発信をする意識を身に着けなければなりません。自発的に考えられる人材を育成するためにも、目の前の課題を意識させる『業務改善活動』を継続的に実施しています。その活動の中で、決裁申請に関しては既存システムでの修正や変更が容易ではなかったため、柔軟に変更できるツールを探していたところkintoneを知りました。」 山下氏



● 決裁者不在。あとでやろうと引き出しに入れたが最後、塩漬け案件が発生!

現場スタッフからは、紙による申請・承認業務の手間が課題として挙げられた。金融グループの一員として、業務ルールが細かに定められていることもあり書類の数は多く、決裁者の承認と審査部門への周知は重要であった。

しかし起案する担当者は、決裁者が不在の場合、改めて時間を見計らい出直すことが多く、資料を自席の引き出しに入れたまま再開するのを忘れてしまう事もあった。決裁が完了した後も、関連資料のPDF化と保管、エクセルでの台帳記入などの管理方法は、過去の調査に時間がかかると同時に紛失のリスクもあったという。





導入の決め手


● 若手スタッフでも作れた。現場主導でスピーディな業務改善ができると確信



Kintoneアプリ作成担当者 徐氏/王氏 


日本でサイボウズが導入されていたこと、そして中国語にも対応している点からkintoneの利用検討を開始した。実際に試用してみると、多少操作を覚える必要はあるものの、高度なIT知識がなくてもアプリを作ることができたのでスモールスタートでやってみることにした。アプリ作成は業務推進部の2年目、3年目の若手メンバーが担当した。当時の状況と作れるようになるまでの過程を以下のように語る。


「はじめてkintoneを見た時は、便利で面白いと思いました。サイボウズのサポートの方に質問をしたり、中国語のマニュアルを読んだりして作り方を覚えました。Kintoneはあまり苦労しませんでしたが、アプリを利用する関係部門との調整のほうが苦労しました。利用に反発する人がいる時は、どのように便利になるのかを辛抱強く説明することが重要だと思います。」 徐氏


「入社したてで、会社の役に立てることを模索する中でkintoneに出会いました。会社業務を理解できると同時に『あの業務もkintoneでアプリにできるのではないか?』と改善アイデアも出てきてやりがいを感じています。」 王氏





導入の効果


● 決裁アプリで、担当者・決裁者・監査の3方の負荷が軽減


担当者は、紙での申請が不要になってからは、決裁者を探す手間と原本を保管する手間が減り、決裁者は自分のタイミングでデータを確認し承認できるようになった。監査担当者は承認後に通知を受け取ることができ、必要であればコメント上でやりとりもできる。なによりデータベースとして残るため、過去のデータ検索が大変効率的になったという。さらには出勤できないコロナ渦であっても、業務を止めることなく業務遂行ができたそうだ。


実は1オフィス50名程度の会社規模では改善の効果は限定的と考えていたが、想定よりも担当者の喜びの声が大きかったことは嬉しい誤算だった。


決裁申請アプリをトップページに配置し、迅速に進捗状況を確認することができる。


承認者、承認日時がログとして記録されるため、捺印作業が不要に。


● 日本人が介在せずとも、現場スタッフだけで社内改善がまわり始めた


「担当者の2人の努力のおかげもあり、kintoneが社内に浸透していき、別の部門も、kintoneで業務アプリを作るようになったという。『業務改善活動』では、日本人が介在せずアプリがブラッシュアップされていくこともしばしばあったようだ。さらには思いがけない効果もあったと長谷川氏は以下のように語る。


「業務が改善される過程でアイデア力や社内調整力など、これまで担当していた業務では見えなかった個々のスキルが垣間見えました。彼らの強みを活かして『彼にはこんな業務を依頼しよう』『彼女には違う仕事にもチャレンジさせてみよう』など思えるようになったのも副次的な効果だったと思います。」長谷川氏





将来の展望


● プラグインの活用、そして自社ノウハウを他社展開へ

kintoneは簡単なアプリ作成であれば、標準機能で構築することができる。さらに、やりたいことが増えてくると『プラグイン』というアドオン機能を使用することでより高度な機能を実装することができる。現在はサイボウズ中国から無料プラグインの提供が開始されたため、その無料プラグインを勉強し、より高度なアプリ開発にチャレンジするようだ。今後の業務展開においては、月次勤怠表の作成や別システムとの連携にkintoneを広げていきたいと語った。また新しいビジネスモデルも検討しており、現在までグループ会社のITインフラを構築してきた当社は今後、自社で成功したノウハウを活かして、日系企業へ横展開をしていきたいという想いも語った。