オンライン・セキュリティシステムを中心としたセキュリティ事業全般を展開
北京京盾西科姆电子安全有限公司(以下、北京セコム)は、日本と同様に「セコム」ブランドで1995年からオンライン・セキュリティシステムを主とするセキュリティ事業全般を展開している。契約先は全体の約90%が中国系の現地企業であり、中国に進出している日系企業の中でも現地法人向けビジネスで特に成功を収めている企業といえるだろう。
同社が特に重視している課題は「サービスの質を向上させ続ける」ということ。セキュリティ事業という、時には人命にも関わる重要な業務を担っているため、サービスの質を磨いていける組織づくりが急務となっていた。
そうした中で、同社ではまず内部の事務処理のスピードを上げ、効率よく、また正確に処理を行うという業務改善を実施した。そこに大きく貢献したシステムが、サイボウズのkintone とガルーンだ。
今回は特にkintoneの活用方法にフォーカスを当て、董事 総経理 山口 忠弘氏、副総経理 陣内 祐之氏、合同管理部 部長 侯 震宇氏にお話を伺った。
Excelによる曖昧な入金管理…時には料金未納の顧客への対応も
質の良いサービスの提供や、社員教育のツールとしてkintoneが活躍
kintoneを導入して最も効果を現したのは拠点間の情報共有のスピードだ。以前は月に1回、本社で更新されるExcelのデータを、各拠点の営業担当が手持ちのリストと照合して編集し、新たなリストを作るという方法を全て手作業で行っていた。本社と各拠点での情報共有まで最大数か月掛かっていた状況が、kintoneを導入してからは全てリアルタイムに共有されるようになったという。
「現在は入金状況のステータスをkintone上でリアルタイムに反映する仕組みに改善しました。登録した情報は即時に反映されるので、各拠点から見てもタイムラグが無く、スムーズな情報共有が実現されました。また、今までは本社でしか情報を更新できなかったのですが、現在は各拠点から自分たちで情報を更新し、それを全体で共有できるようになりました。それに、kintoneには一定期間入金が遅れているとお知らせしてくれる機能もあるので、タイムリーな督促が可能となりました」(侯氏)
また、入金管理のほかにも「重要事項」と呼ばれる、セキュリティに関する案件の履歴もkintoneで管理している。例えばお客様の店舗などに侵入事案が発生した際に、いつ、どこで発生したのか、被害状況はどうだったのかという基本的な案件情報をまとめておくのは当然のことだ。しかし、更に重要なのはその先の処理だと副総経理
陣内氏は語る。
「事実をまとめるだけではなく、再発を防止するにはどうしたらいいかということも非常に重要になってきます。案件が発生してから1回で対応が終わることはまずありません。また、1つの部門だけで完結することも無くて、営業部から総務部の業務まで全て繋がっているのです。そのため、完全に対応が完了するまでのプロセスを全社で「見える化」していくことがとても大切です。案件が発生した後に我々の社内処理が効率良く実施できているということは、再発防止策や新たな警備計画をいち早く考案することができるので、ひいてはお客様に質の良いサービスを提供していくことにも繋がっていくのです」(陣内氏)
副総経理
陣内 祐之氏
合同管理部 部長
侯 震宇氏
重要事項の対応ステータスも一目で把握できる
最後に山口氏はkintoneに対し、「会社の理念を社員に浸透させる教育ツールという側面もある」と評した。
「弊社の役員や幹部も、kintoneに積極的にコメントを書き込みます。単純にOK、NGの指示を出すのではなく、どういう理念や考え方のもとに、こういう指示や判断を出したのか、ということも伝えることができるのが kintone
です。そういったことを業務の中で繰り返していくうちに、社員が会社の役割や使命、理念を自然と理解していく感覚はあります。業務のスピードが上がっただけでなく、社員教育のツールとしても効果を発揮するというのは、他のツールには無い特長だと思いますね」(山口氏)
北京セコムでは上記の活用例の他に、「契約一時中止管理」「新規顧客サービス開始管理」「車輌使用運行管理」「機器資産・物流管理」でkintone を活用している。