利富高(香港)有限公司


【業務内容】

工業用プラスチックファスナーの製造・販売


【利用用途】

生産における初期流動管理、品質管理、内部統制、財務支払い申請など


会社紹介


株式会社ニフコは工業用プラスチックファスナーの製造・販売を目的に1967年に創業され、社名は創業当初の「日本工業ファスナー株式会社」(Nippon Industrial Fastener Corporation) の頭文字からNIFCOと名付けられている。「つなぐ・束ねる・結びつける」という役割を担う、手のひらに乗るサイズの小さな「留め具」を製造している。同製品は製造現場の生産工程における省力化やコストダウンに大きく貢献し、自動車業界の発展とともに多くの自動車に搭載されるようになった。ニフコ香港は1987年に設立され、中国で生産したファスナーや小型ダンパー製品を世界各国に輸出している。今回は、キントーンを各部門で運用定着させることができた秘訣について、営業部門のJAMS氏、管理部門のNatalie氏、総経理の伊藤氏にお伺いした。





導入前の課題


● 各部門の属人化を脱却し、業務の標準化・見える化をどう実現するか


総経理 伊藤氏


同社では、お客様へ迅速に製品を届けるために、営業部門を中心に品質保証や購買、物流部門との連携が必須だ。


しかしながら、そのすべての情報共有はメールやエクセルで行っていたため、複数の業務が進む中チーム内でのタスク進捗や過去履歴の確認に時間を要していた。


特に製品変更を取りまとめる“初期流動管理”においては、「いつ顧客へサンプルを提供したのか、テスト結果はいつ報告したのか、顧客から承認を得たのか」などの各タスクの全体把握を会議内で何度も確認していたため、1件ごとの対応スピードは大変効率が悪かったと言う。


さらに伊藤氏が経営目線で感じていた潜在的な課題を以下と語った。


「実際に従来のエクセル管理で経営ができないことはなかったのですが、スムーズに経営できているとは思えませんでした。


問題が発生した際は、部門責任者の経験値から解決できましたが、問題発生を未然に防ぐまでには至りません。この組織体制を見直すためにもシステムによる標準化・見える化が必要だと感じました。それまで属人化された業務を紐解く過程でキントーンのアプリに落とせるかどうかを考えながら進める事で標準化可能な業務と困難な業務を棚卸することができました。」(伊藤氏)





導入の決め手


● 外資系ソフトを導入するも半年で断念


かつて外資系CRMを導入したものの、うまく活用できず半年で利用を諦めた経緯がある。

それは標準仕様で管理項目が多く現場の入力労力が大きく、結果として入力する習慣まで至らなかったことが原因だった。

また関連する複数部門の業務プロセスをシステム化すると、追加開発コストが大きいことも問題点の1つだったという。

一方でキントーンは、入力項目を自社で設定できるため、シンプルなシステムからスタートすることで入力のハードルを下げられたという。

中心業務のシステム化と同時に、関連部門のプロセスもシステム化できる点がキントーンを採用するきっかけだったと話した。



● IT専門知識のない管理部スタッフでもキントーンを作れた


社内でシステムを構築しているのは、システム開発未経験の管理部門のNatalie氏だった。

彼女は新しい知識やシステムの導入に積極的に取り組むことから、キントーンのアプリ作成を伊藤氏からお願いすることにした。

導入当時について彼女は以下のように語った。

「最初はアプリ作成知識が必要だったものの、繁体字の資料が用意されているので始めやすかったです。

さらにサイボウズのカスタマーサポートへの質問も丁寧に回答してもらえるので、何度か相談していくうちに徐々にコツを掴み自分で作ることができるようになりました。またキントーンを使用するメリットを何人かのスタッフが理解し、今では各自が自らアプリを作成するため、逆にアプリが増えすぎて社内で本当に活用されているアプリとそうでないアプリを整理しなければいけない状況です。少し運用を自由にしすぎたかと反省しているところです。」(Natalie氏)





導入の効果


営業部マネージャーのJAMS氏

● 営業部は過去のやり取りや現在の進捗を、部門を横断して把握できるように


営業マネージャーのJAMS氏は、営業組織を中心に品質保証や物流との関係部署との業務も統括している。


現場目線でのメリットを以下のように語った。


「当時、進捗情報をエクセル等で管理しており、最新ファイルを探すのに苦労していました。またコミュニケーションはメールで、会話の流れを辿るのにも時間がかかっていました。現在は、その2つがキントーンに集約されたことで、細かい労力が減りストレスなく業務が進められていると感じています。特に、検索欄から添付ファイルを含めすぐに情報を探せる機能、変更履歴から誰がいつどこを変更したのかすぐに分かる機能は大変助かっています。」(JAMS氏)





『初期管理アプリ』色別で進捗を一覧で把握できる




修正箇所は「いつ」「誰が」「どこを」修正したのか履歴が残る      キーワード検索でテキスト項目や添付ファイルの中身の文字まで検索が可能



● 部門をまたいだ情報共有で社内のコミュニケーションが活発化


初期流動管理システムが完成した後、品質管理や内部統制、財務支払い申請など多様な業務にもキントーンを展開している。

複数部門の業務をシステム化すると同時に、部門をまたぐコミュニケーションもキントーンを通して容易になったそうだ。

中には社内コミュニケーションが苦手だったスタッフも、キントーンを通して部署を横断して活躍するようになったという。




データとコミュニケーションを1つ画面内で統一





キントーン浸透の秘訣


● キントーンを内製化するためのモチベーション作り


導入を推進した伊藤氏はキントーンのアプリ作成を内製化する秘訣を以下のように語る。

「自社で構築するのは確かに容易ではないです。中にはアプリ作成という新しい業務が増えることを嫌うスタッフもいます。

それは新しい業務が増えてもインセンティブがないからです。しかしそれを逆手に取り、しっかりと評価してあげることで前向きにアプリ作成をしてくれるスタッフもいるでしょう。キントーンによって業務が効率化され始めると結果的に社内スタッフからも感謝され、キントーン担当者は仕事に自己肯定感を感じられるような副次効果も生まれます。キントーンはIT知識がなくても作れるので比較的新しいものを好む、若い世代のスタッフをアサインすることも内製化のコツだと思います。」(伊藤氏)



● 社員はシステムに価値を感じなければ入力してくれない


多くの企業が抱える悩みは、現場が使用してくれないこと。同社も当初は同様の課題を抱えていたようだが、どのようにその課題を乗り越えたか伺ってみた。

「やはり従来のやり方に慣れているスタッフにとって、新しいシステムを使うことに抵抗は少なからずあると思います。それは入力しても最初はデータが少ないので意味を感じられないからでしょう。弊社の場合は、最初に入力を代行するスタッフを配置しました。ある程度データが溜まると分析や検索ができるようになり、営業にとっても活用する価値が出てきます。活用できるようになってからは入力代行スタッフを外して現場に入力してもらうようにしていつの間にかシステムが当たり前になっているというのが浸透の秘訣だと思います。」(伊藤氏)

システムが活用されるためには管理者側の工夫や現場の意見を汲み取ることが肝要だ。

今後も試行錯誤を繰り返しながら、多くの業務に広げていき、現場主導で業務改善できる仕組みを模索するという。