国誉商业(上海)有限公司


【業務内容】

総合文具メーカー事業及びオフィス通販事業


【利用用途】

営業管理、申請業務、法務契約管理など



中国市場で“コクヨブランド”を確立した経営マインドとデジタル戦略

事業紹介



董事長 井上 雅晴 氏

コクヨグループは中国では家具事業、文具事業、オフィス通販事業を展開している。その先進的な機能性とデザイン性を兼ねたコクヨ文具は、学生の間で大人気。年に一度のコクヨ博には熱狂的なファンが開始3時間前から並ぶ。2022年夏には流行に敏感な若者が集まることで有名な上海の「美羅城」に直営店もオープン。また企業向けの家具事業、オフィス通販事業もコロナ時代にあわせ「ヨコクするコクヨ」として新しい商品、サービスを次々と開発。オフィス内にお菓子、飲料の棚を無料で設置するオフィスコンビニ事業は上海で導入先を増やしている。


今回は、営業力向上と社内申請手続き効率化のためにkintoneを導入された国誉商業(上海)有限公司の井上董事長と国誉(上海)企業管理有限公司の高捷法務部部長にコロナ禍に、どのような理由で導入決定にいたったのか、導入の過程、導入効果、今後の展望についてお話をうかがった。





導入前の課題


● わざわざIT部に依頼して退職者のメールを調べないと過去の経緯が把握できないことがあった。


2004年のオフィス通販事業から開始し、中国ライバル企業の買収、文具事業の本格展開と事業成長させていくなかで、井上董事長は「常と変」という言葉を意識しながら経営をしている。100年企業であるコクヨが『常』に守らなければいけないものを大事にしながらも、更なる発展のために『変化』を続けなければならない。コロナ禍で大きな影響を受けている中国市場の5年先の変化を見据えたときに、「社内情報の管理から活用へ」の変革は必須であった。それまで社内情報は「管理」に重点がおかれ、「エクセルによる日報管理」、「メールでの履歴を残しながらの契約書修正と管理」、「紙への捺印による各種申請、承認」と従来のやり方が続いてきていた。ただ顧客先が増え、自社メンバーが増えると、以前に比べ管理の徹底が難しくなる。そこにコロナでの在宅勤務が加わり、必要な情報を対面で直ぐに確認するのが更に難しくなった。実際にコクヨでも以下のような課題があった。


・契約の過去の経緯を確認するのに退職者のメールをIT部に依頼して、時間をかけて取り出してくる。


・エクセルの営業日報は社内での共有が進まない。


・上司が出張中で、なかなか承認が進まない。


変化の激しい今の時代に、組織内での情報処理と共有の質とスピードを同時に上げる必要がありました。」


(井上董事長)





導入の決め手


● 費用対効果を確かめながら、スモールスタートでやりたいことを実現できるイメージがついた。



法務部長 高 捷 氏


高法務部長はコクヨ内で財務、人事、営業を経験し社内の各部署の実情と課題についての横断的な理解があった。特に契約書の管理に課題を感じていた高部長は、法務専門のシステムから、無料ソフトまで幅広く検討していく。


無料ソフトは簡単なことはできますが、日本語対応ができないことを始め、社内の申請フローを代替するのは難しかったです。また法務専門システムは値段も高いのに加え、他の部門、他の業務への拡張性が難しいと感じました。」(高部長)


「サイボウズからの提案を受ける中で、現時点で必要な機能を、対象者を限定して導入し費用対効果をみながら、他の部門へも広げていけるイメージがつきました。」(高部長)


「現在の課題をどのように解決するのか、今後どんなことまで可能になるのかについて他社の事例を交えながら丁寧な説明があり、まずはkintoneを試してみようと思いました。」(高部長)





導入の効果


● コロナ時代の効率化に加え「営業力・マーケティング力・企画力」まで向上


高部長は、効果を出すべく、現場の反応を確かめながらの円滑な導入を行った。数十人の関係者全員を一堂に集めて説明会を開くのではなく、1回に5名程度で導入の意義と使用方法を説明していった。丁寧な導入が功を奏し、一か月の試行期間後には、新しい制度が浸透し、


「社内に戻らなくても申請、承認ができて便利になった。」


「承認までの時間が短くなり、業務スピードがあがった」


「契約書の履歴が管理でき、ミスが減った」


といった好評が得られた。


法務対応状況をチームで共有


コメント欄を使用することでデータに基づいて会話ができる                        データの修正履歴が残るため、無駄なやり取りや確認作業が減少


「導入メンバーから効率が上がったという反応が続き、これなら他の部門、業務にも広げていけると感じましたし、自部門メンバーもkintone導入を通じて成長できました。」(高部長)


実は今回の申請フローは法務の若手メンバーが作成した。当初は「ITの仕事じゃないんですか?作れません」という否定的な反応であった。


kintoneは非IT部門でも操作しやすく、サイボウズのサポートもあったので若手メンバーがワークフローを完成させました。自分が作ったものが全社で使われる中で責任感と達成感を得られ、現在では他業務のワークフロー化も提案する積極性がでてきています!」(高部長)


そのような成功体験があったため上海ロックダウンの際には、他部署でも、いくつもの申請ワークフローが社内開発された。


一方、営業組織においてもkintoneの導入で大きな変化が起きていた。


元々、kintoneでの営業日報運用は、営業メンバーの行動管理により今年の成果を上げるのが目的だった。実際に運用を始めると営業日報の内容だけでなく、マネージャーがどのような日報返信で、指導しているのかも可視化され、マネージャー層への管理指導もできるようになったのだ


私も営業日報に目を通し、積極的にコメントをするようにしています。営業メンバーにとって、自身の活動が見られていることは、緊張感と共に、『注目をされている!』とやる気にもつながるようです。」(井上董事長)


営業日報により自社商品の売場のリアルな写真や情報が、整理されてkintone内に蓄積されていくことは営業の現場でも力を発揮した。


文具店へ新規営業をする際にkintoneに蓄積された情報が活用されている。同業の成功実績をデータ化し新規取引先の売上アップのアドバイスに活用することで、コクヨの営業スタッフが自社商品を語るよりも説得力がある」(井上董事長)


そして、営業日報で蓄積された情報が活用されているのは営業部だけではない。


「マーケティング部にとっても営業日報は貴重な財産。営業部が集めてきた現場情報は、競合商品の動向・商品陳列の効果測定・高収益エリアの把握に繋がり、コクヨの販売戦略に大きく寄与しました。」(井上董事長)


「見えなかった情報が見えるようになって、どう活用するべきかメンバーが考え始めました。『成果のために、こんな情報も欲しい!』という要望が来て、営業メンバーも今まで以上に目的意識を持って現場に訪問するようになり結果、商談の質が上がってきました。」(井上董事長)


今年の売上を作るための情報活用のサイクルがkintoneというツールで回り出しました。」(井上董事長)





将来の展望


今後は中国以外の東南アジアの文具事業にも力を入れていきます。同じ東南アジアとはいっても各国地域で文具の売り方は全く異なりますが、kintoneで実現した「現場情報を活用する仕組み」を今後はベトナムにも展開予定です。最終的には各国を点ではなく、アジアという面として捉え、文具の営業として成功要因の『常』を、しっかりと営業行動管理をしていきたいと思います。コクヨ中国のように、各国の現場情報を収集することにより、アジア全体の文具と文具売り場のトレンドが分かるマーケティングデータを蓄積していくことは、次なる『変』を生み出すための貴重な資産になるでしょう。」(井上董事長)


「中国国内のコクヨグループでも勤怠と業績評価の連動など、まだまだkintoneを使って効率化をしたい業務があります。またサイボウズさんには最新の他社事例が多くあるので、今後とも様々な提案やサポートを期待しています」(高部長)