【業務内容】
各種デジタル商品およびオフィス家具の企画・製造・販売
【利用用途】
顧客管理、案件管理、営業管理、スケジュール管理
2007年に中国法人・山業(上海)商貿有限公司を上海に設立以来、中国でマウスやキーボードをはじめとするPC周辺機器の企画・製造・販売を展開するサンワサプライ。近年は日系企業を中心にオフィスと工場の新設や移転に伴うオフィス家具の事業も伸長し、中国事業が着実に成長して軌道に乗っている。その一方で従業員も増えた社内の情報共有は、従来の主にエクセルによる管理では入力の手間や上書きによる保存ミスなど業務上の弊害も生じ始めていた。
今回は、サンワサプライ上海の営業担当・河田一成氏にkintone、そしてガルーンヘルプの導入にあたっての課題と利用後の業務改善効果についてお話を伺った。(取材:2016年11月)
マウスやキーボードをはじめ、1000品目のPC周辺機器を主にECサイトを通じて販売している
山業(上海)商貿有限公司の河田一成氏(右)とサンワサプライ営業部の渡邉優氏(左)
サンワサプライ上海が手掛ける事業の一つは、中国国内でマウスやキーボード、PC用のカバンなどPC周辺の各種デジタル商品の企画・製造・販売だ。その取扱品目数は実に1000品目にのぼり、現在は主にTMALL(天猫)や京東といった主要なECサイトを通じて一般消費者に販売している。上海を中心に一部で店頭販売もあるが、「ここ数年は中国のEC市場の成長に伴い、販売チャネルもネットに大きくシフトしている」(河田氏)という。毎年、その取り扱い額が話題となる11月11日のシングルデーには販促キャンペーンを展開し、今年は前年比160%と売上も大きく伸びている。
PC周辺機器の中で売れ筋の一つと河田氏が紹介してくれたのが”特徴があるマウス”だ。なかでもエルゴノミクスマウスは、通常のマウスのように手首をひねらずに持つことができ、手首や腕に負担が少ないと人気の商品。価格は通常のマウスに比べると数倍と高額だが、日本ブランドとあって中国の消費者が安心して購入するケースが多いという。
一方、サンワサプライ中国がここ数年で特に力を入れているのが、法人向けのオフィス家具の販売だ。もともとデスクやイスといった商品もECサイトを通じて販売する品目として取り扱っていたが、近年は法人向けの営業に注力し、主に日系企業がオフィスや工場を新設もしくは移転する際、新調するオフィス家具全般をワンストップで提供する。中国の生産工場と提携し、お客様の要望に応じてカスタマイズにも対応できる体制を構築しており、日本に輸出する商品と同等の品質を保っている。
山業(上海)商貿有限公司の河田一成氏
水平に倒せるオフィス用のリクライニングチェア。フットレストもあり、効果的に休息がとれる。
「2016年度のオフィス家具の事業は売上が前年比200%と好調で、上海近郊だけではなく、天津市や合肥市、東莞市など地方での工場の移転や家具の入れ替えに伴う納入が増加しました」と河田氏は話す。オフィスで使用するデスクやイスから会議室用の大小様々なテーブル、キャビネット、応接室で使用する革張りの応接家具、パーテーションやロッカーまで一般的なオフィス用途で豊富なラインアップを取り揃えるばかりでなく、今年から日本で販売を開始した電動の昇降デスクを今後中国でも展開する予定だ。
来年早々に中国でも販売を予定している電動の昇降デスク。昼食後は立ってデスクワークにあたるなど、サンワサプライ上海のオフィスでは全社員で利用している。
中国での販売を順調に伸ばすサンワサプライ上海だが、その一方で増加する案件や顧客情報の管理において従来から使用するエクセルでは十分に対応しきれなくなっていた。例えば、訪問先に関する商談内容や次に実行するアクションを共有する「法人メモ」というファイルでは、複数の営業担当が使用するため、記入の上書きや保存ミスが頻発し、また同時アクセスができないことから業務効率に改善の余地があったという。
「オフィス家具は遠方のお客様も多く、提案に際しては少なくとも数度は事前に訪問して打ち合わせし、納品時にも立ち合うことがあるため、中国国内の出張が欠かせません。エクセルでは外出先から社内サーバーにある共有のファイルにアクセスできないため、上海に戻ってから記入するなど手間がかかっていました」と河田氏は当時の課題を振り返る。
また、スケジュールについても以前はホワイトボードで当日の外出予定を共有していたため、「総経理に同行してほしい場合、その都度予定を本人に確認する必要がありました」(河田氏)。出張の予定や事後の報告に関しても、各自がそれぞれエクセルに記入して社内のサーバーにアップする方法を採っていたことから、営業担当者の手間だけではなく、確認するマネジメント層にとっても場所と時間の制約が業務上の弊害になっていたという。
サンワサプライ上海は2015年末にkintoneを、そして2016年春にガルーンヘルプを立て続けに導入。従前から抱えていた情報共有における課題を、それぞれの基本的な機能を活用して解決している。
「独自の使い方といえるほどの複雑な活用は正直していません。エクセルで管理していた情報は、そのまま同じ項目をkintoneにスムーズに移行して利用しています。外出先からアクセスでき、複数の営業担当者が同時に入力できるというだけでも非常に便利です」と河田氏はその利便性を説明する。実際、kintone上では訪問先の情報を共有する「法人メモ」のアプリを作り、以前のエクセルの項目を大きく変更することなく移行して活用している。その他にも今後営業活動の対象となる企業を管理する「フォロー企業リスト」や実際に獲得した案件を管理する「案件管理」、顧客情報を登録する「取引先マスタ」など、営業活動に関して自社が抱える情報をまるでkintoneの利用用途の凡例のようにシンプルに取り入れている。
kintoneでは取引先マスタをはじめ、案件管理や訪問内容を共有する「法人メモ」のアプリを利用している
「日本から中国側で導入したkintoneを確認してもらうことで、報告用の資料を改めて作成する必要も減りました」(河田氏)。オフィス家具の案件の場合、「案件管理」では商談内容から実際に顧客のオフィスの新設・移転の日程、見積書の提出日、発票の発行日、入金日をkintone上で全て入力。業務の進捗状況をマネジメント層が一目で把握できる情報共有の仕組みができあがっている。今後の活用についても、「オフィス家具の納入後の写真をkintoneで共有するなど、アイデアは色々とあります」と河田氏は笑顔で話す。
また、kintoneに続いて導入したガルーンヘルプは外出が多い営業担当者を中心にスケジュールの共有で活用している。「お互いの予定が把握できることで営業同士の連携や情報共有が以前に比べると活発に図れるようになりました。今後はワークフローなどの機能も活用していきたいと考えています」(河田氏)。
ガルーンヘルプは基本機能のスケジュール管理で営業担当者同士の予定を共有している
ECサイトを主要なチャネルとして好調なデジタル商品の一般消費者向けの販売。そして法人向けに着実に業績を伸ばすオフィス家具の事業。サンワサプライ上海では今後、オフィス家具の顧客に対してPC周辺機器も合わせて販売するなど双方の事業で相乗効果を生み出していきたいと考えている。特に成長著しいオフィス家具については、現在は上海周辺に集中する提携先の生産工場を拡充して、中国国内のあらゆる地域への納品においてもコストを削減し、納期を短縮できる体制を築いていく方針だ。
ノーコードツール「キントーン」を活用してDX変革に挑戦しているユーザーのリアルな声が聞けるイベントです。 複雑で多様に変化する中国市場でどのようにキントーンを活用し、事業を推進しているのか。
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