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広州市番禺区旧水坑技華電子廠 様

月間130万台の生産能力を持つ冷却ファンの製造拠点
Garoonで日中を跨ぐ承認・決裁業務を大幅に時間短縮

【業務内容】

冷却ファンの製造

【利用用途】

承認・決裁業務、スケジュール管理、情報共有(スペース)

会社概要

コンピュータやカーナビ、カーオーディオなどのメーカーに冷却ファンをはじめとする部品・装置を供給する日本計器製作所。その生産のほぼ全てを担う広州市番禺区旧水坑技華電子廠(技華電子廠)は、主力ブランド「SEPA」の冷却ファンを月間130万台レベルで生産する能力を持つ中核の海外製造拠点だ。中国では主に自動車産業を中心に日本と中国に製造拠点を構える日系企業に供給している。その技華電子廠が日本本社とのコミュニケーションツールに選んだのがGaroonだ。古賀秀樹・副総経理に導入前の課題と導入後の効果についてお話を伺いました。(取材:2018年8月)

今回は冷却ファンの製造を手掛ける広東省の広州市番禺区旧水坑技華電子廠様にお伺いしました。

事業紹介

主力の冷却ファン「SEPA」ブランドを展開
受注生産をはじめ、200種類以上を常時生産

日本計器製作所は1943年設立の前身・富士計器製作所の時代から主に電気計器の製造を長らく手掛け、1985年に現在の主力製品となる「SEPA」ブランドの冷却ファンを開発して世に送り出した。技術開発では茨城県守谷市に研究所「つくばテクノロジーセンター」を構え、冷却ファンの他にも小型精密ポンプ「PIEZO PUMP」など独自ブランドの部品・装置を開発している。

中国は1994年に海外子会社の技華有限公司(香港)を設立すると同時に、広東省広州市に中核の製造拠点となる技華電子廠を開設。5000平方メートルの敷地に延べ床面積7200平方メートルの4階建ての工場で600名超の従業員を抱え、現在はメーカーからの受注生産も含めて常時200種類以上の大小様々な冷却ファンを製造している。

広州市番禺区旧水坑技華電子廠の
古賀秀樹・副総経理

常時200種類以上の大小様々な冷却ファンを製造する

しかし近年、中国で製造するコストメリットは人件費の高騰を一因に25年前に比べ大幅に減少している。「積極的に自動化を取り入れ、製造工数を削減するなど工場全体としての採算性をいかにマネジメントするかが一段と重要になっている」。自身、日系の製造業で長らくモノづくりの現場に携わってきた豊富な経験を持つ古賀副総経理はそう強調する。また、日中間で頻繁にコミュニケーションが発生する業務では、「両者の間を隔てるのは言語の違いではなく、考え方や文化に由来するものが多い。個人的な主張のぶつけ合いに終始せず、組織全体の合理性からすり合わせることが大事だ」と一家言を持つ。

導入前の課題

メールに帳票を添付する回付手段が原因
日中を跨ぐ承認・決裁業務に3日間以上かかる

業務上、日本本社と中国の製造拠点の間を行き来する大量のメール。技華電子廠の場合、その一つに費用申請などの承認・決裁に係るメールがあった。実際、工場内の備品や材料など様々な購買に関する費用申請は、多くが広州市の工場で就業する中国人従業員から起案され、金額によっては中国国内で完結せず、日本本社で決裁するものも少なくない。

「メールは一度目視で認識しても承認業務を後回しにして、その結果、”承認したつもり”で忘れてしまうことも少なくかなった」。起案から決裁までのプロセスで多ければ承認者が10人に及ぶ場合もあり、申請内容に特段の不備や特殊性がなくても、複数の承認者の業務状況によっては決裁に3日間以上を要するケースも珍しくなく、時には承認・決裁が放置される状態も発生していたという。古賀副総経理は、「とにかく時間がかかっていた」と当時の課題を振り返る。

また、メールに加えてその原因となっていたのがエクセルの申請帳票の添付ファイルだ。承認者は受信したメールの添付ファイルをクライアントにダウンロードして帳票を開き、電子化した印鑑を捺印(貼り付け)して承認する。そして、改めて帳票を添付して次の承認者にメールで回付するといった具合だ。「それぞれのパソコン(のローカル環境)でエクセルの帳票を開いて確認する作業が、承認・決裁業務をさらに煩雑にしていた」。さらに最終的に決裁されたファイルの保管が属人的で漏れてしまうことも問題になっていた。

利用用途

あらゆる費用の承認・決裁業務に利用
大幅な時短で意思決定のスピードアップ

【承認・決裁業務】

社内の備品購入や生産に必要な材料の購買まであらゆる費用の承認・決裁業務を行う。申請する内容や金額によって「費用申請書」などの予め用意したフォーマットを利用する。金型に関しては新規購入や研磨などの修正に係る費用を申請する「金型申請書」、半導体など数カ月先に必要となる材料を前もって調達する「先行手配申請書」など内容が特殊な費用は個別のフォーマットを設けている。日本本社では休暇申請や残業申請といった勤怠管理にも一部活用している。

調達に時間がかかる材料の購買を前もって申請する「先行手配申請書」

【スケジュール管理】

外出や出張、会議などの予定を予め登録して個人が自身のスケジュールを管理するだけではなく、Garoonを利用する日本本社および中国の製造拠点の全員でスケジュールを共有する。Garoonに登録されたスケジュールを最優先する社内ルールを徹底している。

日本本社と中国の製造拠点で利用者全員のスケジュールを共有する

【情報共有(スペース)】

日本と中国の関連部署同士による複数人が関わる情報共有の場として利用する。例えば、日中の品質管理部門が「製造部年度目標達成報告」などの日々の報告書をアップして共有することで、過去の履歴が一元的に蓄積されて品質管理に関連する社内データベースになっている。

スペースでは日中の品質管理部門などが日々の報告書を共有する。

導入の効果

モバイル対応でいつでも承認・決裁
大幅な時短で当日の決裁完了を実現

【承認・決裁業務】

以前は申請から長ければ3日間以上を要していたが、Garoon導入後は当日中の決裁が可能となり、大幅な時短を実現した。「承認・決裁業務の作業も大幅に簡素化し、実際に私が一日に費やす時間は従前の1時間以上から10分以下に短縮した」と古賀副総経理は効果を実感する。結果、日本本社と中国側との迅速な意思疎通が図れ、会社全体の意思決定のスピードが格段に上がったという。

では、Garoonの利用によって何が改善されたのか。一つは、従来の添付ファイルのダウンロード・確認・再添付といった煩雑な作業がゼロになり、承認者の手元で承認・決裁が滞ることが解消した点だ。また、Garoonは予め必要な承認者や決裁者が設定できるため、メールのように本来加えるべき承認者が漏れることで発生する手戻りがなくなったという。「スマートフォンなどのモバイル対応で外出や出張の移動中でも容易に確認・承認できる点も非常に助かっている」。

全ての承認・決裁業務の履歴が漏れなく一元管理できるため、以前のように決裁されたファイルを従業員がサーバーに格納する属人的な作業がなくなった点も業務の効率向上に寄与している。

【スケジュール管理】

会議の場でお互いに口頭で伝え合う程度で、ほとんどスケジュールを共有できていなかったGaroon導入前に比べ、現在は複数人が参加する会議の日程調整が圧倒的に容易になった。加えて、自分の業務に関連する他部門の予定に積極的に参加するなど好循環が生まれている。

【情報共有(スペース)】

生産現場の写真など画像を貼り付けた相当に容量が大きなファイルも支障なく共有・管理できると好評だ。「生産工程や治具の改善点など写真を撮影して画像を添付するケースも多く、日中間の会議で使用する数メガの資料ファイルを事前にメールで送付する必要がなくなった」。

成功ポイント

導入はトップダウンで当然のごとく進め、運用は現場の声に耳を傾け利便性を高める

「慣れ親しんだ方法からの変化に現場は必ず抵抗がある。だから、導入は基本的にマネジメントの意志によるトップダウンで当然のごとく進めた」と話す古賀副総経理だが、一方で「承認・決裁業務で利用する帳票のフォーマットの作成は現場の声に耳を傾け、サイボウズの担当者の協力を得ながら素早く対応することを心掛けた」と運用の定着には心を砕いた。

しかし、もちろん懐疑的な意見はあった。古賀副総経理は「中国側は強い問題意識を抱えていたが、日本本社は決して困っていなかった」と当時の状況を正直に明かす。だが、製造拠点の技華電子廠がGaroonを活用する大きな目的は、日本本社の日本計器製作所と共通のコミュニケーションツールの利用によって日中の意志疎通の迅速化を図ることにある。日本側の説得は欠かせない。そこで古賀副総経理は実際に日本で利用する品質管理部門などの現場に説明に通い、そのメリットを説いて回ったという。

「一度慣れてくれば、その利便性からは離れられない」。そう古賀副総経理が自信を持って話すように、Garoonはいまや日中のコミュニケーションツールとして大きな効果を発揮している。

将来の展望

事前と事後の申請を一元管理する仕組み
ルール化してスペースの積極的な活用も

承認・決裁業務においては更にその利便性を高める機能を検討中だ。例えば、接待の実績報告がそれだ。事前の接待申請で承認・決裁された金額と実際の金額は往々にして差異が発生する。そのため、事後に実績報告を改めて申請し、金額が超過した場合は追加決裁を仰ぐ必要もある。「こうした事後の実績報告をすでに決裁された事前の接待申請と同じ管理画面のフローで承認・決裁できる仕組みを整え、金額の予実を一元的に管理できるようにしたい」。

また、スペースを活用した情報共有についても、「単なる連絡手段ではなく、組織としてルール化して日中間でもっと積極的に活用していきたい」と古賀副総経理は考えている。

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