霧のいけうち様
組織化するための活動の見える化をkintoneで実現
中国で産業用スプレーノズルを展開。
会社の成長に従いプロセスの見える化を行うためにkintoneを導入。
霧的池内 (上海) 貿易有限公司は、主に日本の工場で生産した製品を販売しており、『霧のいけうち®』グループ全体の数%程度の規模でビジネスを行っている。
会社が発展していく中で、組織化の必要性が発生した。組織をつくり、役職をつくり、評価制度を作っていく中で、従業員の活動の見える化を - 「kintone」 - で行うようになった。
中国でのビジネス展開や、「kintone」を使った営業報告の運用等を、前総経理の岩村恭直様と現総経理の竹内大輔様にお話を伺った。
業務改善の流れはこちら
事業
中国における産業用スプレーノズルの販売
中国で産業用スプレーノズルを展開
「中国では主に日本の工場で生産した製品を販売しており、グループ全体の数%程度の規模です。中国参入のきっかけはローカル企業からの引き合いでした。当初からローカルをターゲットにしていましたので、まとまった業界情報が無く、営業は苦労しましたね。テレコールしたり、ローカルの展示会に出たり。北京の展示会に出るのに車で行ったこともありました笑。お金はなかったのですができることはなんでもやりました。」
前総経理岩村恭直様と現総経理竹内大輔様
ビジネスの転機は2010年
中国でのエレクトロニクス業界が盛り上がった。
「2010年に中国でエレクトロニクス業界が盛り上がったんです。その製造装置メーカーからの引き合いが非常に増えました。その時もやはり情報が少なかったので、日本から中国の液晶パネルの業界地図を逆輸入して情報収集したり笑。今はPM2.5等大気汚染の影響で、公害対策用ノズルの引き合いが増えています。」
代表的な製品であるスプレーノズルを紹介する現総経理の竹内様
中国でのビジネスのポイントは先読み
そして本社とのコミュニケーション
「先読みですね。中国では日本よりもスピードが速い。突発的な対応が求められる。例えば、蘇州のショールームに現金を持って買いにくる人がいるんですよ。だから偽札チェックの機械をショールームに用意したり笑。」
「あとは本社の言うことは聞かない。というと極端ですが、総経理は本社の壁になってあげないといけないですね。「日本でこうやったら上手くいった。」という「日本流」に対して、「中国ではこれをやる。」と明確に主張して説得していくことが大切だと感じています。」
約100畳(≒150㎡)の広さをカバーする加湿ユニット潤霧®(うるむ)とそれを体感しているサイボウズ中国 有島こころ
一番大変なのは本社とのコミュニケーション
「本社とのコミュニケーションでしょうか。日本とは異なる市場で、日本とは違ったやり方も必要だと理解してもらうのに苦労しました。成果を出すうちに、任せてくれるようになってきましたね。」
「現場でのオペレーションに関しては、中国ではアクシデントはつきものですから、前向きな失敗は辛くないんですよ。笑ってネタで済ませられますね。」
課題
家族的な会社から組織への変革
会社が成長する中でプロセスの「見える化」が必要に
「プロセスをみるツールが欲しかったからです。最初は少ない人数で家族的な経営をしていました。それが大きくなる中で、組織化が必要になり、組織図をつくって役職をつくって、そういうものをひとつずつ作っていきました。その中で、結果だけではなく、プロセスを見えるようにしたかったんです。最初エクセルでやっていたら、過去からの流れがわかり難く、我々が見なくなりまして、そしたら登録されなくなって。そのためサイボウズを導入し、業務の見える化を図りました。サイボウズを導入したことが「会社を変えていくよ」というメッセージになりまして、ローカルメンバーから改善案が出てくるようになりました。組織として成長してきたなと思います。」
効果
活動の見える化を実現
活動の見える化
「霧的池内(上海)は、取引先が 1500 社以上、商談単価は数百元からという非常に多数の取引数を持っている。そのため、重要視しているのは「営業の活動量」と取引金額が大きい「大型案件の数」だ。
これらの「活動量」「大型案件数」は kintone にログインして最初に目に入るトップページに配置されている。
営業パーソンは、毎日商談した顧客の報告を kintone に登録する。 顧客マスタと紐づけすることで、当該顧客への接触履歴を簡単に把握できる。 これにより営業活動がひと目で把握できるようになった。
岩村氏は1日20件~30件の報告を読んで、必要に応じてコメントを書く。 「報告を書いていて、上からのコメントがなかったら書く気がなくなるじゃないですか」
売上に影響がでる大口案件数
活動量を見える化
従業員に定着させるために kintone で経費申請
kintone のように組織で利用するツールを活用するためには活用の定着が必須である。見える化をしたくても情報が登録されなかったら意味がないためだ。
これが個人で利用するツールとの大きな違いである。営業管理ツールを導入した企業のほとんどが失敗するのもこの点にある。
霧的池内(上海)ではその定着にも工夫をしている。
「交通費の経費精算を kintone
で行うようにしたんです。精算時には顧客マスタと紐づけて申請させる。経理が精算するときに顧客マスタから報告書を確認するんです。これによって、報告書をかかないと経費がもらえないようにしました。効果覿面でしたね。」
しかし、現在は状況が違うそうだ。
「最初は私たちが無理やり「やれ!」と言っていたのですが、そのうち、中国人メンバーが勝手に使い始めました。便利ってことに気づいたんだと思います。
導入した時期と、拠点が増えた時期が一緒なんですよ。メールで連絡するの面倒、スケジュール確認するの面倒。『言った言わない』が増えてきた。この
kintone を使ったほうが便利だったんです。」
商談報告を記載しないと商談したことにならない運用
経費申請は顧客マスタと紐づけ
顧客マスタから商談履歴・案件等が一目で確認できる
日本とのやり取りも kintone で
中国でのビジネスは現地販売がメインのため、日本の工場から製品を輸入している。納品予定や在庫確認、製造依頼等のやりとりをこれまでメールと電話で頻繁に行っていた。
「最初はエクセルのフォームでやっていたんですよ。日本本社の担当者に理解があったのでスタートできました。
うまくいきましたね。本人たちも「使いやすいですね。」といってます。いまでは「中国すすんでいるね。」という話になっていますよ笑」
日本との納期確認をスムーズに
改善提案がうまれる土壌
導入した当初は無理やり使わせられていた -「kintone」- だが、今ではローカルスタッフからの改善提案がでるようになった。
「商談報告くらいまでは私が頑張ってつくりましたが、そのあとのアプリはスタッフが発案してくれるようになりました。」
「蘇州工場では、改善提案を表彰するようしているんです。サイボウズを使うことで業務改善提案がより出てくるようになりましたね。」
kintone の運用を行っている金氏
今後の展望
従業員が成長できる会社にしたい
従業員が成長できる会社にしたい
「せっかく、霧的池内(上海)に入ってくれたのだから、それなりの人材にはしたい。普通の営業だけをやっている人材ではなくて、転職しても他の会社ですごい人材といわれるような人間を排出したい。教育はしっかりやっていきたいと思っています。」そう語る岩村前総経理。 現在は、総経理職を竹内氏に引き継ぎ、自身はベトナムの責任者になった。「今は、製品は日本から輸入していますが、今後はベトナム製品の中国販売を増やしたいですね。そして、グループ売上の半分はベトナム・中国で稼ぐようにしたいと思っています。」 「霧のいけうち®」のグローバル市場でのさらなる飛躍を期待したい。
担当者からひとこと
霧のいけうち上海様は、私が中国に来て初めてご契約いただいたお客様で個人的に大変思い入れがあるお客様です。中国でのビジネスが少しずつ軌道にのり会社が発展していく中で、少人数の家族的な経営から、組織化の必要性が出てくるのはすべての企業が通る道だと思います。中国で成長し続ける強い組織を目指す経営層の皆様は必見の事例です!ぜひ参考にされてください。
有島こころ プロフィール
福岡県出身。2009年サイボウズ入社。人事担当として新卒社員の採用業務に携わる。2012年、台湾への留学経験をいかし、自ら志願してサイボウズ中国に出向する。現在はサイボウズ中国の、新規向け営業グループのマネージャー兼採用マネージャーとして辣腕をふるっている。