強力貿易股份有限公司

【業務内容】

産業機械・精密機械の輸入販売



【利用用途】

営業管理、プロジェクト管理、顧客管理、在庫管理

進行營業報告、專案、顧客、庫存等管理



▶ 全体キャッチ

社内のコミュニケーションコストの削減とデータ管理の効率化で会社の生産性が向上

リード

強力貿易股份有限公司 總經理

林先生

1970年に設立した強力貿易股份有限公司は、産業機械や精密機械を専門とする貿易会社である。取引先には世界的なリーディングカンパニーをはじめ、日本、ドイツ、イギリス、アメリカ、オーストリア、スイスなど約10か国の企業があり、台湾でのビジネス展開をサポートしている。

 

ERPシステムは10数年前より活用しているが、データの整理や分析の基盤としてkintoneを併用する。その経緯と有用な機能について、総経理 林克紹氏にお話を伺った。


● ERPシステムを導入するもデータの分類・抽出が課題に

同社では経営の多角化を推進している。その結果、取扱製品が増え、着実に事業も拡大していった。一方で、問題になっていたのがデータ管理。従業員数は50名未満のため、誰もがマルチタスクにならざるを得なかった。顧客情報や注文記録などデータの入力・整理も手作業で、入力ミスが起きやすくなっていた。半日以上の労力をかけてもデータが正確でないことが多く、効率的とは言えなかったのである。そこで、同社はERPシステムに着目する。

当初はkintoneとは別のERPシステムを活用。しかし、設計当初の制約によって、会社の成長に応じて改善できなかった。そのため、取引先や顧客、取扱製品のデータが増え続けても業種や品目など項目別に分類できず、データの抽出や分析が課題になっていたのである。

「我々の取扱製品は極めて多い上、それぞれに特徴があります。従来のERPシステムでは顧客ニーズに沿ってうまく抽出できないため、ある製品の販売状況や販売履歴を調べるには、それらを一度Excelに入力し、LOOKUP関数で検索しなければなりませんでした。」

「Excelも個々のスキルによって入力ミスの心配がありました。データを抽出した場合も、分析にはそれまでの倍の時間がかかります。とても面倒になってしまい、経営に重要と認識しつつも、データ分析は四半期に一度になってしまいました。経営の状況や課題をリアルタイムに把握できないことで、ビジネスチャンスを逃してしまう恐れが出てきたのです。」

「当然、ERPシステムの改修も考えましたが、コストや時間がかかります。予想通りの効果が得られるとも限らないので、そんなリスクは負いたくありませんでした」。現状の仕組みでは手間がかかるとはいえ、経営戦略を考えていく上ではデータの有効活用は欠かせない。林氏は何か良い方法はないかと模索していた。

● データの一元化と共有化を両立させるkintone

01. 従来のERPシステムにはなかった自由なカスタマイズ設計

林氏がkintoneを知ったきっかけは、友人からの紹介だった。とくに興味を引いたのは営業レポートやプロジェクト、顧客、在庫などを一元化でき、クラウド上でリアルタイムに情報やデータを共有できること。これが導入の決め手にもなり、台湾のパートナー企業の肯美資訊にサポートを依頼した。従来のERPシステムとkintoneを併用し、利便性と効率性を高めることで、膨大なデータを管理している。

kintone最大の良さは、「操作画面を自由にカスタマイズできること」という。従来のERPシステムとは異なり、kintoneは用途に合わせて項目や順序を設定できた。しかも、カスタマイズにエンジニアは不要なため、「使い勝手が良く、コストも削減できる」と喜んでいる。

「当社でとくに有用なのは『絞り込み機能』です」と話を続ける。絞り込み機能によって、取扱製品と顧客データを簡単に紐づけられるようになった。複数の製品情報や顧客の取引情報を確認する場合は、林氏がカスタマイズした絞り込み機能からグラフやリストを抽出している。kintoneでは必要なデータを短時間で抽出・分析できるようになったことで、従業員の作業時間を大幅に削減。日々の資料やデータの変化も確認しやすくなり、経営課題を早期に発見できたり、余分なコストを抑えられるようになっている。

02. 正確な販売状況が把握できることで、無駄のない仕入れを実現

従来のERPシステムの分析機能は取扱製品の年間販売量しか表示されず、販売先を正確に把握できなかった。「例えば、ある製品の年間販売量が月平均20個と表示されたとします。ここでは販売した数量がわかるだけで、販売先の顧客はわかりませんでした。もしかすると、ある顧客が20個をまとめて購入したかもしれません。今年も毎月20個準備することはできますが、仮説通りでなければ余剰在庫になってしまいます」と説明する。



kintoneには年単位、月単位の集計機能があり、顧客についても販売した製品や数量、使用状況などが一目瞭然になった。正確なデータであるほど、分析の精度は高まる。注文数の多さ、少なさなどは購入プロセスから分析できるようになった。同社では仕入れの無駄がなくなり、コスト削減を実現している。

03. 注文書に注意事項を追加し、出荷ミス・伝達漏れを防止

これまでの注文の仕組みも満足のいくものではなかったと林氏はいう。

「以前は営業スタッフがアシスタントに手伝ってもらいながら、従来のERPシステム上に注文書を作成していました。営業スタッフの忙しさから何度もやりとりするため、注文書に記入漏れや入力ミスがあったり、発注から出荷まで数ヶ月を要したり、アシスタントへの引き継ぎがうまくいかず、出荷や支払い時にミスが発覚して損失を招いたこともありました。」

kintoneでは対策を実施。アシスタントに注意を喚起する分類項目を、注文書の備考欄に追加した。「当社の顧客は多岐に渡るため、それぞれのニーズに応じて受注する必要があります。例えば、納品要望として一括納品なのか分納なのか、また出荷前連絡が必要なのか不要なのかなどがあります」。このように多様な顧客ニーズを、同社の従業員は備考欄を確認するだけで指示・把握できるようになっている。これによって出荷ミスは大幅に減り、営業スタッフとアシスタント間の伝達漏れによる損失も減少した。

04. スモールデータから経営課題、経営戦略が見つかる

これまでカスタマーサービス案件は修理技術部が対応、レポートも作成していた。顧客別にまとめているものの、簡易的な内容で“顧客および製品に発生した重大な問題か”捉えることができなかったのである。kintoneではその解消をはじめ、問題が多発している製品、問い合わせの多い顧客などを分析できるようになったことで、従業員がより顧客目線で対応できるようになった。

このようなスモールデータから、修理技術部の従業員のスキルアップが必要か、問題の多い製品にはサポートが必要かなど、強化すべき部分や重点課題を検証・対策し、会社の成長につなげている。

05. 作業効率アップと見落とし防止に貢献する『コメント機能』

林氏は『コメント機能』も評価。「kintone上の追加、修正がすべて記録され、追跡できるのは非常に便利」と称賛している。

社内では頻繁に従業員同士がやりとりしているが、その内容をすべて覚えておくことはできない。記憶力に頼ると事実確認ができない上、誤ることがある。メールやLINEで遡ることはできても、時間と手間がかかる。そんな時に有用なのが『コメント機能』である。すべての作業履歴が可視化され、コメントウインドウでは関係者の議論もすべて残すことができる。「すべてが記録されるので、後日振り返ったり、分析したい時、すぐに以前の情報も探し出せるのです」。社内のコミュニケーションコストの削減に貢献している。

「海外からの見積り依頼でも役に立っています。従業員はメールやメモ用紙などさまざまなツールで知らせてくれますが、見積り依頼が重なると誰からの問い合わせか、すでに見積りを提出したかなどがわからなくなってしまうのです」。kintoneでは海外からの見積り依頼をリスト化。作業工程がわかりやすいよう、問い合わせ中、審査中、回答済みなどのステータス項目を追加したことで、「見落としの心配がなくなった」と感じているという。

「見積りを提出した案件で、先方からリアクションがなかったとします。何らかの問題が起きていると考え、私から直接進捗を尋ねるようになりました」。従業員も進捗を追跡できるため、滞っている場合は林氏に知らせることができる。会社全体で迅速に問題を解消していくことによって、着実にプロジェクトを進め、顧客満足度を向上させている。

06. 最も頭を抱えていた注文の仕組みをkintoneで構築

kintoneの検索機能は、同社の煩雑な作業を大幅に削減した。とくに複数の取引先に注文する場合である。注文量が増えると記憶違いや失念によって、すべての納期を把握できず、業務に支障が出ていた。「例えば、7つの取引先に対して同時に注文しても、納期はそれぞれ異なります。後日、納期を確認したい時は発注書を確認しなければならず、時間も手間もかかっていました」

そこで、kintoneで注文の仕組みを構築。注文から輸送までの工程項目を追加し、進捗を部署までわかるようにしたことで、従業員の戸惑いは少なくなったという。

他にも注目すべき点がある。kintone上に取引先のinvoice(請求書)の外貨金額を記載、支払いを促せるようになったり、為替レートが良い時に両替できるようになった。外貨両替の副次効果として、会社の支出を減らし、収益が高められるようになっている。

● kintoneでデジタル化の第一歩を踏み出せる

社内のコミュニケーションコストの削減とデータ管理の効率化を実感

kintoneのメリットについて林氏は、社内のコミュニケーションコストの削減とデータ管理の効率化と答えている。また、従業員管理も簡易化されたという。例えば、休暇・出張申請。以前までは上司の役割だったが、オンラインで承認できるようになった。その他にもオンラインで処理できることが増えている。

林氏はkintoneのアプリ構築の際、従業員のニーズや意見を参考にしている。実際、それらを反映し、成果をあげているのが顧客訪問や業績統計、月間レポート、会議、請求書、注文、見積り依頼、仕入れなどである。「これらのアプリによって、従業員は半日以上かけることなくレポートを仕上げたり、速く正確にデータを見つけられたり、何度も問い合わせることもなくなりました。kintoneの情報やデータはリアルタイムで更新され、共有できるので、私だけでなく、従業員も業務の進捗を把握できるようになったのです」

「kintoneの導入によって会社の生産性が上がり、売上アップへの戦略づくりができるようになりました。急速な進化を見せるIT、変化が絶えない市場と激動の時代ですが、それを乗り越えられるよう、データ分析や経営管理をさらに追求し、競争力を高めていきたいです」

新型コロナウイルスの影響で、今後は多くのデジタル移行が考えられる。これからのトレンドは、どんな場所からもリアルタイムかつ正確な情報やデータを得られる環境を整えること。kintoneはその第一歩を踏み出すことができるサービスである。


事例提供代理店
肯美資訊科技股份有限公司