カメラやレーザープリンタなどの事務機を中心に販売を行う佳能(中国)有限公司[以下、キヤノン(中国)]。日本でもカメラや事務機でCanonを知らない人はいないほどの有名なメーカーだが、中国でも同様にシェアと知名度を拡大している。特にカメラ部門は同社の成長を担っており、現在は小都市の開拓や、シニア、子供、女性、トラベラーなど既存の顧客層からさらにニーズを広げる取り組みを行っているという。
また同時にSOHO向けの事務機事業は中国国内の店舗市場で約25%のシェアを獲得するなど、日本発のグローバル企業として著しい成長を遂げてきた。近年ではCMA(チャイナメジャーアカウント)と呼ばれる中国大手企業を専門とした販売チームを発足し、更に新たな市場の開拓にも乗り出した。
そんな同社では、2014年からkintoneを導入し、営業管理や店舗管理のツールとして活用を進めている。今回はkintoneの利用方法やその効果について高級副総裁 渡辺 秀一 氏、高級総経理 江原 大成
氏、政府及国内大客戸銷售推進部 蔡 平氏、商務影像方案 LBP 及CRG市場部 吕 岩氏にお話を伺った。
中国市場の急速な拡大とは裏腹に、電話やメールによる非効率な業務が続いていた
自社業務と親和性の高いkintoneを営業管理ツールとして採用
キヤノン(中国)の各部門がそれぞれ抱える問題を解決するため、2014年に入ってから新たなツールの導入を検討し始めた。中国国内でもSFAやCRMなどのツールはさまざまなサービスがあるが、その中でサイボウズのkintoneを採用した背景を渡辺氏は次のように語る。
「以前、日本でサイボウズのグループウェア製品を販売していた経験がありまして、弊社にとって親和性の高いツールだということは以前から感じていました。中国に赴任してから、非常に簡易的な営業管理ツールを新しく発売したと聞いて、それがkintoneとの出会いでした。どんなツールなのか詳しく話を聞いたところ、今まさに我々がやろうとしているビジネスに役に立つだろうと感じ、導入を決めました」(渡辺氏)
また、試用から導入までの様子について江原氏はこう語った。
「2014年末に、まずはkintoneのお試しを開始しまして、その後2015年1月に本導入しました。初めは16名分のアカウントだけだったのですが、利便性と操作性がとても優れている点が社内でも評価されて、2015年4月からはさらに50アカウント追加して利用しています。導入時の準備期間も、システムの構築期間も非常に短期間で行えたことには驚きました」(江原氏)
こうして自社業務との親和性や利便性、操作性などが総合的に評価され、キヤノン(中国)社内でkintoneが活用されるようになった。
高級総経理
江原 大成氏
kintone のトップ画面にはグラフを表示し、活動状況を見える化している。
中国大手企業の収益倍増にkintoneが貢献。手作業で行っていた集計作業も自動化し、業務全体のコスト削減に
kintone導入後、CMA部門と店面販売の部門で抱えていた問題点は次のように解決した。
まず、CMA部門で主にメールでやり取りしていた価格申請は、kintoneアプリに変更したことで案件ごとにまとめて管理をすることができるようになり、過去の履歴も難なく探し出せるようになったという。また、kintoneの基本機能の「プロセス管理」を利用することで、申請から承認までのプロセスを全て一元管理できるようになった。このように販売実績の詳細をkintoneに登録しておくことで、担当者、販売機種、販売価格をひとまとめの商談事例としてすぐに見返すことができる。似たような案件が発生した時に先例を確認しながら商談を進められるのは営業メンバーとしてもメリットが大きい。
各顧客の商談履歴が把握できる顧客情報
特価申請システム
またその他にも、営業メンバーの営業状況をkintoneアプリで管理する試みも始めたという。
「我々の営業方針は、実際にお客様を訪問して接することを大切にしています。メンバーの営業状況を管理することで、どのくらいお客様先を訪問しているか、現在の商談状況はどうなっているのか、リアルタイムに知ることができるようになりました」(蔡氏)
「中国の場合はとにかくスピードが要求されます。そのため、お客様の情報や営業状況をいち早くメンバーが共有して、早急に次の手を打つことが非常に大切です。kintoneは導入のしやすさだけでなく、分かりやすい操作性で現場の営業メンバーもすぐに使いこなせるようになりました。現在は営業の進捗状況をリアルタイムに共有することで大変効果を発揮しており、この分野は年々収益が倍増している状況です」(渡辺氏)
さらに店舗管理の部門でもkintoneは大きな効果を発揮しているそうだ。
「現在は、各店舗に番号をつけてkintone上で管理をしています。この番号で検索すると、店舗の所属の省、都市、業種や連絡先、担当など必要な情報がすぐに調べられます。また、その店舗で弊社側からの要求…例えば、売れ筋商品を目立つように展示しているか、ポスターを掲出しているか等をきちんと実施しているかどうか、そういった評価も全てkintone上に情報集約できるようになりました」(吕氏)
高級副総裁
渡辺 秀一氏
店舗情報が一目で把握できる店面管理システム
13億人という世界最大の市場で、まだまだ進化を続けているキヤノン(中国)。世界を代表する日系企業のひとつである同社の活躍を、今後もkintoneが支えていくだろう。