中国市場で“コクヨブランド”を
確立した経営マインドとデジタル戦略
国誉(上海)企業管理有限公司  総経理  高 捷 氏
高氏:皆さん、こんにちは。国誉上海有限公司総経理の高と申します。本日はご来場いただきありがとうございます。すごく感謝いたします。
高氏 私は上海で生まれ上海で育ち、会計専門家の父親の影響で学生時代に4年間東京へ留学し会計を学びました。日本で財務職を探すのは難しく、帰国後にコクヨへ入社しまして今年13年目です。これまで財務→人事/広報→営業→法務/監査部門を幅広く経験してきました。ずっと管理側にいると現場のことがわからないので、一年間営業の仕事を経験しました。この一年間はノルマもありとても苦労しましたが、営業時代にはトップセールスにもなりました。
趣味は一人でゴルフとスキーに行くことです。ゴルフは回った後の宴会が嫌いなので、一人で行くことが好きです。そして最近の悩みは妻から髪が薄くなったと言われたことです(笑)。しかし家族の支えがあって仕事に専念できているととても思っていますので、家族から心から感謝しています。 国誉中国三大事業 国誉の中国での三大事業は「ステーショナリー」「ファーニチャー」「オンラインストア」です。ファーニチャー事業では、二年前に香港の有名企業ラメックス社を買収し、中国でもどんどん事業を拡大しています。
国誉(上海)投資有限公司はそれらの事業を行う各法人を統括し、日本本社観点でガバナンス・リスク・コンプライアンスを徹底すること、社員育成、外部機関との関係構築、ブランド価値向上やCSV事業開拓の役割を担っています。その中でも一番重要なのは、ガバナンス・リスク・コンプライアンスの徹底ですが、そこで感じていた課題をkintoneを導入してどのように変化したか、本日はお話したいと思います。 「常と変」、中国市場の将来を見据えた変革 高氏:皆さんご存知の通り、中国市場は非常に大きく、変化の早い市場です。一歩遅れるとダメになります。ちょうどコロナ渦中、管理プロセスを見直すチャンスだと認識しまして、「社内情報の管理から活用へ」の変革は必須であると感じました。
3つの課題 大きく3つの課題が存在しました。まずは契約書管理。元々紙ベースで管理していましたが、法務チェック漏れやプロセスを飛ばして押印申請を進めるなどのミスや申請してから契約書原本を書き換えてしまうことも発生してしまっていました。また、エクセルファイルでの管理だと探すのが非常に大変だったため、改善したいと強く思うようになっていました。

また、事業部側にも2つ課題がありました。上司が出張や外出で会社に不在でなかなか承認プロセスが進まない。そしてエクセル管理の営業日報の運用にも限界を感じていました。

まずはローカルサービスを検討しましたが、コストが高い、開発費も嵩み、IT専門の人間がいないとなかなか運用が進まなさそうという印象を受けました。

そんな中、kintoneと出会いました。
選定の決め手は、まずは日本語対応があることでした。中国語対応があることだけでなく、日本人社員のために、日本語での対応も必要でした。そして人事、営業、財務、法務など全ての業務に拡張性が可能だったこと。最後は作成するアプリの数が1、100、1000個でもライセンス費用は同じ。とてもコスパが良いと感じました。
導入の決め手 現場の法務メンバーをリーダーに抜擢し、スモールスタートで一歩一歩着実に進めていった 高氏:まずは契約書管理、営業日報からスモールスタートすることにしました。そしてIT部門に任せるのではなく、法務メンバーで舵を取って始めてみることにしました。初めは自分たちの仕事ではないと法務メンバーから反発がありましたが、説得を試みました。
「これから解決するのは、法務の課題と業務の課題なので現場のことを一番わかっているメンバーがやることが成功に繋がる。またノーコードツールであるキントーンであれば、誰でも使うことができるのでそれは可能だ。」
説得が叶い、法務メンバーがリーダーとなってプロジェクトがスタートしました。 高氏 全社員500名に向けてのkintoneについて説明会を実施しようとしたところ、法務メンバーから提案がありました。「少人数5〜10人で円卓のテーブルで、参加者と近い距離で向き合って丁寧に説明する方法はどうか。」と。この少人数実施案で実施し、一ヶ月ほどかけて丁寧に説明会を行いました。

結果、社内に戻らなくても承認作業ができプロセスをスムーズに進めることができるようになり、契約書管理の履歴もkintoneに残るようになったのでガバナンス強化も実現しました。これまで紙やエクセル、メールでの煩雑だと感じていた業務がkintoneを使うようになってとても便利になりました。
導入の仕組みと効果 ここから具体的にアプリをご紹介します。
契約書管理アプリ
契約書管理アプリではプロセスをチームで共有。ステップが可視化されるようになりました。
コメント機能を活用して、活発なコミュニケーションを実施。管理層は契約書に対しての問題点やどういうプロセスを経て進めているのか確認できるようになりました。
コメント機能
契約書
契約書の承認履歴も残ります。契約書は修正が発生する度にファイルをアップロードする社内ルールを作って運用しています。そして確定版契約書ファイルをアップロードしないと捺印に進めることができないプロセスにしたことでガバナンス強化を実現しました。
さらなる付加価値の実現 契約書管理以外にも活用範囲を拡大しました。休暇申請の承認プロセスや求人依頼もkintoneで管理しています。また、出張旅費申請もkintoneアプリで管理しています。
さらなる付加価値
依頼申請
旅費申請書
情報サイクルの活用を実施し、「営業力・マーケティング力・企画力」の向上を実現 ここまでは管理側の活用が中心の紹介でした。さらなる価値を創造するためには営業やマーケティングの力が必要になって来ると考えています。ここからは営業・マーケティング部門での改善事例を紹介します。
ステーショナリー事業では、商品を店舗に置いていますので、店舗情報がとても重要になってきます。これまでも全ての店舗の様子を写真に撮って情報を集めていましたが、紙ベースで管理していたので生かしきれていませんでした。kintoneに移行してからは全ての情報をkintoneへ登録。実際の生きた営業活動のデータがどんどん蓄積されるようになり、販売・マーケティング戦略に活かす良いサイクルが生まれました。そして文房具店側の戦略と国誉側の戦略を繋ぎ、さらなる企画力の向上に成功しました。
さらなる付加価値
売り場での情報
「現場情報を活用する仕組み」をASEANにも展開していきたい 今後の展望ですが、二つあります。まずは中国だけではなく、ASEAN各国で展開しようと考えています。グローバルで展開するような一つの仕組みを検討中です。

そして二つ目は具体的な運用分野になりますが、勤怠、ここでは給与計算を想定していますが、そして業績評価の分野にkintoneを活用していきたいと考えています。
\ 発表は以上となります。ありがとうございました。 /
高氏
ケイレイ
MC 謝慧玲
(以下、ケイレイ)
ありがとうございました。素晴らしい発表でした。いくつか質問をさせてください。
法務の若手メンバーに任せたということですが、自ら手を挙げたのか、高氏から指名されたのかどちらでしょうか?
高氏
高氏
皆さん想像がつくと思いますが...指名しました。
ケイレイ
ケイレイ
指名した方のモチベーションアップに繋がる取り組みは何かされましたか?
高氏
高氏
結果から言いますと、このメンバーは昇格しました。モチベーションに関してはだいぶ変わったと思います。法務の仕事は、専門知識を持ってYes/Noで対応する業務が多くなっていますが、このkintone推進の業務は、現場に入り込み、回答はYes/Noでは収まらず、グレーというか自分で考えて推進していく力が必要になってきます。やり始めて、面白さに気づいたのか意識が変わっていったように感じています。しかし今となれば、法務メンバーは業務に関してとても興味を持つようになり、異動したいと言い出してしまって困っています。(笑)

高氏
ケイレイ
ケイレイ
情報活用のサイクルは具体的にどういうステップを踏んで、ここまで回されるようになったのでしょうか?
高氏
高氏
良い質問ですね。kintoneのおかげもありますが、やはり事業側の経営陣の力がかなり必要だと感じています。経営陣が集まった情報を非常に大切に扱い、活用している。これがSTEP1。STEP2は経営陣が大切にしている姿を見た現場メンバーも情報を大切に扱うようになりました。このSTEPを経て、今はうまく回るようになりました。
ケイレイ
ケイレイ
ありがとうございます。非常に参考になるお話をありがとうございました。コクヨ様のご登壇は以上となります。もう一度大きな拍手をお願いします。ありがとうございました!